『暴走する地球温暖化論』にて初めて当該著者のことを知り、その内容に興味を引かれてこの本も続けて手にとらせていただいたのだが非常に面白い。
著者の手によって世間一般で無根拠に信じられているものから、丹念に過去の言説や研究が掘り起こされていくことでまったく異なった像へと誘われるさまには爽快感すら漂う。しかも、単に過去の言説を切り貼りするだけではなく、著者によってきちんと咀嚼されているため一読してわかりえるようになっているが、露になる像の衝撃力は恐ろしい。
例えば、当著においての流れはまずは「民主主義」・「共和主義」・「選挙権」についてどういうものであるかということについて歴史を紐解くことで、なんとなく我々が理解しているものとは違った定義を下準備する。そのうえで、日本の戦前、戦後の歴史を紐解くことでそのなんとなくの理解がどのような悲劇を招いたかということをしらしめる。
最後に現在に再び戻るが途中途中で現在日本についての皮肉もちらちらと篭められているので、著者が言わんとすることは察することができる。それは為政者個人のパーソナリティーに依存する仁政期待(これを当著では水戸黄門呼ばわりしている)に甘んじていてはリスクを先送りするだけで根本解決にはならないということ。きちんとシステム的に覚悟をもって政治制度を選択せよということに尽きるのだろう。その点について最後もう1章ぐらい割いてきちんと書いてほしかったのでひとつだけ星を削らせていただいた(そうでないと単なる左派バッシングの本という誤解をしてしまう人もいるような気がする)が、普通に公民・政経の教科書、副読本として読んでいただきたい目から鱗、あるいはある程度政治思想に親しんでいる人にも頭の整理に最適の一冊といえる。