最近話題のコーポレート・ガバナンスの学術的な概説・分析書。
一口にコーポレート・ガバナンスと言っても、実は色々な論点がある。
まず目的の問題。それが社会倫理のためなのか、あるいは企業の効率化のためなのか、などといった違いがある。
次に方法の問題。市場型、組織型、外部コントロール、内部コントロールなどいろいろな方法が存在する。
最後に主権の問題。誰が会社の主権者か。株主か、債権者か、労働者か。
こうした観点から、アメリカ、ドイツ、日本の3つの状況を丹念に分析している。
他の方も書いているが、一般向けの本というより学術書なので、記述はやや難しいし味気ない。
あと、わりと経済学的な前提のもとに書かれているので、例えば株主絶対主権、債権者絶対主権などの欠陥として、会社が倒産しそうな場合の処理の問題という、普通の人ならばあまり問題にしなさそうなケースを論拠にしている。
逆に、普通の人ならもっと気になりそうな「株主の権限を強くすると、短期的に利益を出して株価を上げるために、長期的には損失になるような事業を推進して会社に損害を与えるのでは」のような話は本書では出てこない。
経済学というフレームには偏っているが、コーポレート・ガバナンスの整理としては非常によくまとまっていると思う。