京都市内と琵琶湖を一望できる比叡山は京都観光の名所の一つでもありますが、本書では天台宗改宗千二百年記念という副題が語るようにも日本仏教の母山としての比叡山の姿が詳しく述べられていました。
冒頭は最澄の生涯と天台の教えという仏教史の概説のような詳しい解説が続きます。掲載の経典や文書、絵図も国宝や重文ばかりで文化財としての価値もさることながら、宗教的な位置づけも併せて知るように出来ていました。
根本中堂の内陣の変遷なども書かれていますし、侍真僧の日課なども知ることができます。
掲載の台密の文化財の素晴らしさはオールカラーですから如実に伝わることでしょう。
特に興味を惹いたのは、62ページ以降の千日回峯行に代表される回峯行の内容でしょうか。歴史に続き、現在の回峯行が書かれています。行者と一緒にお勤めを行っているような写真が続きます。行者橋を渡る大阿闇梨のお姿や産寧坂、六波羅蜜寺、清水寺、五条天神社、神泉苑、祇園御旅所、北野天満宮、上御霊神社という京都大廻り・切廻りのコースの紹介は類書では見たことがなかったので関心を持ちました。
後半は仏教史の概説書のような詳しさになりますし、様々な観点から比叡山を捉えていますので深く多面的な比叡山の姿を理解できるような編集でした。伺い知れない教義や治世者との争いを超えて生き続けてきた比叡山の凄さを改めて知ることができたムックだと思っています。