連日、高原性の鳥インフルエンザの感染の報道が飛び込んできていますが、本書を読むとわが国におけるその対策が米国、台湾、スイスなどに比して大幅に遅れている現状を目の当たりにして、唖然としてしまいます。
本書では強毒性と言われるH5N1型についてだけではなく、昨年から流行している(当初は豚インフルエンザと呼ばれていた)H1N1型なども含め、新型インフルエンザ全般について、Q&Aのまとめも併せた総論的なお話、病原性の強弱(致死率)で4段階に分けた上での夫々の場合のシュミレーションと対策、個人的な感染予防対策まで記されていますが、評者が個人的に強く納得させられたのはやはりヒトへの感染は時間の問題とされる強毒性H5N1型に対する対策の緊要さです。
従来わが国でも強毒性H5N1型に対しては地道に(?)対策が講じられつつあったものが、H1N1型の流行で棚上げとなる一方で、当初は大騒ぎされたにも関わらずその毒性が幸いにも(?)低めであったことも手伝って、その後新型インフルエンザ全般に対する私たちの関心が急速に低下してしまい、結果的にH5N1型への対策もその後ほとんど進んでいないという現状は大変衝撃的でした。
当初3000万人分備蓄されていたプレパンデミックワクチンの製造備蓄もストップしてしまっており、備蓄期限が漸次切れてしまうに伴い、昨年11月現在1000万人分を残すのみとなり、それも今年中には期限切れになってしまうというお話にもショックを受けました。(昨年秋に新たに890万人分の補正予算は組まれたとのことですが。)
本書には上記の如く個人レベルで可能な対策も記されてはおりますが、日本での感染死亡者数が数百万単位、場合によっては1000万人近くに上る可能性、ひいては日本社会崩壊ともいうべき事態に陥る可能性にまで触れられている件を読むと、やはり国家レベルでの対策を何としてでも是非とも急がないと・・・という気がします。
結局は私たち国民の認識が第一なのですが、わかってはいても「菅さん、読んでくれないかしら?」と思ってしまいました。