1998年(平成10年)から2002年(平成14年)の四年間にわたって、毎月一回発行のミニ新聞という体裁で、著者が感じたこと、考えたこと、問題意識を持ったこと、疑問に思ったことを書きとめていった文章の数々。枠にとらわれない新しい見方やものの考え方に「おっ!」となる、斬新かつ刺激的、とても面白い授業に参加している気分で読んでいくことができましたね。
『毎月新聞 第1号』に載っている、<自分のまわりを見渡すと、長く愛用しているものは単機能のものばかりである。単機能は使う目的がはっきりしているからである。(中略)「なんでも使える」は「なんにも使えない」に通ずるのだ。>という文章あたりから、「うんうん、言えてるなあ、それ」と共感させられながら、著者の視点の新しさ、面白さに引っ張り込まれていきました。
なかでも印象に残った考察は、次の五つ。
『第6号 日常のクラクラ構造』 ゴミ袋をめぐって、それまで外側にあったものが内側にとりこまれてしまう“逆転の構造”、その妙味に目からうろこがポロリ。私もクラクラっとなりました。
『第9号 おじゃんにできない』 <せっかく始めてしまったことをおじゃんにして、一からやり直すことにとても抵抗がある>人間心理の面白さ。「一度立ち上げた機械の運転は、確かに停めづらいんだよね」と、職場の仕事を思い浮かべてみれば、頷くこと何度も。
『第13号 質問ができない』 <素晴らしい質問ができた時、その先に素晴らしい答えが用意されていると言ってもいいほどである。> この言葉、すとんと腑に落ちました。いい質問あってこそ、素晴らしい答えが導き出されるのだなあと。
『第17号 入試の心得』 風に舞い上がった一枚の受験票が、受験生たちの気持ちを自由な地平へと解き放った爽快感。時は移り、立場は変わっても、変わらずにある「自由な心の持ちよう」の大切さ。心に響く文章に、乾杯!
『第40号 オレンジの皮』 身動きのとれない閉塞的な状況が、一個のネーブルオレンジの干からびた皮から亀裂が入り、打開されることの鮮やかな驚き。2002年2月20日発行の新聞にあった、<未来のみえない閉塞状態にある日本も、小さな問題をきちんと解決することが、この流れを変えるきっかけになるかもしれない。>との言葉は、まんま、2010年の今に通じるのではと、ハッとさせられました。
カエルの子供が主人公の三コマ漫画『ケロパキ』。「ああ、あの頃はこんな出来事や事件があったのか」と感慨深いものがあった『この月の出来事』。本文の余白に収められた連載アイテムも楽しく、興味深かったですね。
枠組みや制約をとっぱらう、しなやかでやわらかなものの見方、考え方が、凝り固まっていた我が脳みそをもみほぐしてくれた、みたいな。「大当たり!」の一冊でした。