子捨て・子殺しと中絶とのカテゴリー統合への道程、さらに母性喪失が意味連関に組み込まれる過程を丹念に分析した良書。中絶というテーマは、優生思想やリプロダクティブ/ヘルス・ライツ等など、様々な要素が絡み合っているが、「中絶の正当性/逸脱製を支配する論理が、共同体準拠の価値(優生思想・人口抑制・幸せな家庭など)だから」という筆者の視点は鋭い。自分の中で整理できなかった論点がすっきりと整理された感がする。また、言説分析の手法も参考になった。このような地道な作業を常になさっている著者の今後にますます期待。