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母の恋文―谷川徹三・多喜子の手紙 (新潮文庫)
 
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母の恋文―谷川徹三・多喜子の手紙 (新潮文庫) [文庫]

谷川 俊太郎
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

高名な哲学者だった父・谷川徹三。そのかげに隠れるように一生を終えた母・多喜子。両親の遺品のなかに、若き日に二人が交わした537通もの恋文が残されていた。京大生だった徹三が多喜子と出会ったのは、大正10(1921)年、恋う思いを朝な夕なに手紙にしたため、二人は結婚した。長い時間が流れたいま、父母の愛の往復書簡を、詩人で息子の谷川俊太郎が、愛惜の念をこめて世に送る。

登録情報

  • 文庫: 381ページ
  • 出版社: 新潮社 (1997/10)
  • ISBN-10: 4101266212
  • ISBN-13: 978-4101266213
  • 発売日: 1997/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 時代と夫婦の絆を映し出す作品, 2008/4/29
レビュー対象商品: 母の恋文―谷川徹三・多喜子の手紙 (新潮文庫) (文庫)
手紙は書くのももらうのも大好きだ。
最近はペンをとる回数もめっきり減ってしまったけれど、レターセットや葉書は
こまめに買い、かばんに入れておくようにしている。けれど、「恋文」というものは
書いたことがない。これからも書くことはないだろう。勿論、好きな人に手紙は書く。
けれど、それは、あくまでも「近況報告」のような手紙であって、決して「恋文」では
ない。「好き」とか「愛している」とか「お慕い申し上げます」といった言葉は、
たとえメールでも使えない。だからこそ、この往復書簡集を楽しめたのだと思う。
あまりにも自分とは違う世界の出来事で。

 ふたりは出逢ってすぐに、熱烈に恋に落ちる。熱烈に愛を語り合う。少し離れた
ところにすんでいたふたりは、会えない分、頻繁にペンをとり、言葉をかわしあう。
ふたりの手紙の消印日付から、ふたりが2〜3日ごとに手紙を往復させていたことが
分かる。朝に夕にペンをとり、思いを伝え合うふたりが微笑ましい。

 けれど、何より面白いのは、政治家の娘と京大生(哲学科)という当時において
「インテリ」と呼ばれるような階級にいたふたりが何に興味を持ち、何をし、何を読み、
何を考えて過ごしていたかが分かる記録になっているところだろうと思う。
そして、「恋愛」についても、哲学科らしく、実に観念的に、小難しく理屈をこねて
いるところだ。私は色々なことを「考えず」に日常を過ごしているからこそ、
考えて考えて考えて、その考えを言葉にするふたりの姿が新鮮だった。

 巻末には妻になった多喜子から徹三への「30年後の手紙」も記されている。
あんなに愛し合って、熱烈に恋文を交し合った二人でも、夫婦になると色々なことが
あることが分かる手紙で、なんとなく「あぁ、やっぱり」と思った。けれど、それでも
多喜子は徹三を追い求めていて、30年前と変わらぬ愛情を注いでいて、その姿が
実にいとしかった。そして、その手紙の後、本文のラストに、ふたりの晩年の写真が
掲載されている。ぴったりと寄り添いあい、濁りのない笑顔を向けているふたりの姿に、
夫婦の絆は、ふたりで過ごした時間が築き上げるのだとしみじみと思った。
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