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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
不条理劇の傑作,
By ボールド・アズ・ラブ "田原坂" (福岡市東区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD] (DVD)
乾燥した野原に呆けたように立ち尽くす老女が、無表情にダンスを始める不思議なシーンから映画は始まる。まるで不条理な今後の展開を予期させるような象徴シーン。 それを契機に始まるひとつひとつの描写には息を呑み続けることになるワケだが、一見縦軸となる「犯人探し」とは別の 一挙一動が恐怖へと繋がり、それが伏線となってラストへと結実していく、監督のそうした演出が見事。 例えば路上の息子が心配で裁断作業をしながら息子を注視する母。 指一つぐらい落としちゃうんじゃないか、とこっちはひやひやする。そこに車が突っ込み息子が轢かれてしまう。その時母の手は謝って指を怪我して血を流す。 母と子の関係の深さがこのシーンだけでつぶさに分かると同時に、今後 どんな事が起きてしまうのか、どんな酷い事でも起きてしまうんじゃないか、とこちらの想像をかき回すのだ。 これぞ映画らしい映像美ではないでしょうか。 その後も生々しく不気味な映像は続出。近親相姦を思わせるベッド描写。ペットボトルが倒れて徐々に液体が広がり、眠っている男の指先に辿り着こうとするシーン。バイオレンスシーン。血の流れるシーン。火のシーン。 巧みに計算され配置されたそれぞれのシーンが、緊張感を呼び、登場人物の暴走する狂気と共に、あっという間にクライマックスへ繋がっていく。 真犯人は誰か、という目的が「如何に息子を守るか。如何に息子を愛する自分を守るか」という強靭な母の意志に取って代わってしまう ラストシーンも印象的だ。 そして、何があっても変わらない母の子に対する思い、子のためにはどんなことでもするという愚かしくもゆるぎない、おそらく古今東西を問わない母の思い。「人間の業」。そこには道徳も真実すら捻じ曲げてしまうほどの深さがある
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「永遠の子供」と「母」,
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レビュー対象商品: 母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD] (DVD)
近年の韓国映画の趨勢を鑑みるに、今この国ほど映画作品においてタブーが存在しない国はないのではないか。宗教や政治や道徳にも惑わされずとらわれない、人の心を深くえぐる作品が多くあるように思う。 この映画は、単純に説明すれば、知的障害のある息子にかけられた殺人の容疑を晴らすため、母親が一人奔走する話である。 母親の庇護なしでは生きられないトジュン。農薬を飲んで親子心中未遂という過去を乗り越え、息子とともに生きる母親。 ネタバレになるので詳しくは書かないが、この映画は母親のエゴを描いた映画ではない。 またこの映画には「子供のエゴ」は存在しない。 二つのエゴがぶつかり合う事もなく、母親はただ「永遠の子供」を守り続け、生きるのである。 クライマックス、火事の後の枯れ野原を彷徨う母親の姿は彼岸を超えたように思えたが、 ジョンパルとの面会時には号泣し、自らの太ももに針を打つ。 これからも子供を守り、生き続けなければならないのだ。 この映画には「母」のいない子供が二人存在する。 一人はアルコール中毒の祖母を養う為に男たちに体を売り、殺害され死体で発見された女子高生のアジョン。 施設を脱走し、最後に捕らえられたジョンパル。 「母」のいる子供と「母」のいない子供。 この陰影が「母」という存在をくっきりと浮かび上がらせる。 監督は主人公の母親にあえて役名を付けなかったという。 見終わったあと、自分の家族、世間の家族に思いを馳せた。。。
32 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
凄いな、ポン・ジュノは、、、。(内容に触れてます),
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レビュー対象商品: 母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD] (DVD)
個人的に、今、韓国映画界で、最も次回作が待ち遠しい映画作家はポン・ジュノ。最新作も、期待通りの傑作。これは、母と子の業、母親の、慈しみと狂気が紙一重の愛、善悪を超越したかのような感情の流れ、人間の深層心理が垣間見えるミステリー。 激烈な物語性の構築ぶりに唸らされるし、怖いが、グッと引き寄せられてしまう力が、この映画には間違いなくある。 吉行和子みたいなキム・ヘジュが凄い。その国民性ゆえか、喜怒哀楽の剥き出しの感情の発露で、生涯忘れられないような強烈なインパクトを持った熱演。 この上ない人間としての“大罪”を背負いながら、映画は、更に過酷な状況下に母親を置く。ウォンビン演じる息子も怖い。彼女は、ただ、心の弱さ、痛み、葛藤を麻痺させるべく、太股に針を打つしかないのだ。 そして、最も印象に残るのが、冒頭とラストで一対となるキム・ヘジュの“舞い”。 冒頭での、枯れた草むらの中で取り憑かれたように舞うキム・ヘジュ。巻頭間もなく、観る者に予断を当たえず続けられる虚無感と沈痛な面持ちの彼女の踊りが、ラストに見事に繋がっていく演出の妙。 伴奏として奏でられていたイ・ビョンウによる抒情的なタンゴ・ギターの美しい旋律が、彼女の心象が見え隠れするかのような儚さと悲しさに溢れていて、今も心が掻き乱される。
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