テレビで数分、新聞でも数行で処理される日々の事件の数々。
その事件を追った、実名ドキュメンタリーの良書。
犯罪大国日本になりつつある現在においては必読。
事件の背後には、それに至る刻々が必ず存在している。
その至極当たり前の事実を明示し、実感させてくれる本。
勿論、編集者の主観や、事件関係者の証言に基づかざるを得ない部分もあるため、
全てが客観的事実のみに基づいているわけではないのは当然としても
(そもそも、そんなことは事件当事者しか知る由もないが)、
事件の概要、その経緯を知るには十二分であった。
特に、最終話の「名古屋アベック殺人事件」について以下記す。
残酷性を緩和された情報しか受け取っていなかったせいか、
読みながら何度も手を止めさせられ、その常軌を逸する犯行にゾッとさせられた。
事件の経緯自体は凄惨に凄惨を極めているが、
その後の加害者側の対応や、被害者遺族の生活状況の変化には
遣る瀬無いというか、本当に何とも云えない感情に苛まれた。
確かに、非道な加害者達にも幸せになる権利はあるはず。
だが、フツーの犯罪とは到底比較にならない罪を犯しておきながら、
事件を振り返ることを「後ろ向きに生きることだ」とか
「忙しいので墓参りにすら行けない」と言う者を
更生済みとして野放しにしてしまったこの国が恐ろしい。
彼らの中で既に出所している者と明日すれ違っているのかもしれない。