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乃南アサは、本書でその質問に対する一つの回答をだした。本書は動機が不明のまま、兄弟以上の付き合いの親友を殺した男の独白でつづられた「殺意」と、その、殺された男の死に至る数分間の意識の流れがつづられた「鬼哭」からなっている。
殺人とは、非日常なことだ。しかし、日常のすぐ隣に非日常は潜んでいる。乃南アサは、それを伝える伝導師みたいなところがあると僕は密かに思っている。 本書でも、彼女は見事にその役割を果たしている。 ずっしりとした重量感のある文章は、観念的でありながら非常に映像的でもある。映画化したら、面白いかも。
対照的な二人だったからこそ続いたのだし、殺意にも至った
この双方を併せて読むことで、
人間関係の難しさに恐怖を感じる
それは、この二人が特殊ではないから・・・
こういう人間関係の繋がりって沢山ありそうなだけに考えてしまう
個人的には、的場が走馬灯のように息絶えるまでの『鬼哭』が圧巻
自分に起きた事が理解できず戸惑う感情から
真垣との関係を想う微妙な心の展開が旨い
昨今長編が多い乃南アサ氏ですが、短編でも全く無駄が無い逸品
対比された二人の人生を読み、私は真垣と的場の二人の性質は逆だったのではないかと思った。家庭環境とお互いの人生にもっとも影響をもたらした相方のせいで、真垣は人当たりのよい堅実で忍耐強い人間に、的場は感情的で激しく身勝手な人間になった。ただこの先、真垣が目指すのは本能のままに生きる孤高の殺人者であり、殺された的場は薄れ行く意識の中で不器用な自分の人生を振り返り家族や親友だと疑わなかった真垣との関係を回顧する人間味を見せる。最後に人との隔絶を望む者、人のぬくもりを求める者。この対比がすばらしいと感じた。
私は「鬼哭」の的場に感情移入し読み返しては泣いてしまった。憎しみより、信じきっていた真垣の拒絶に対する悲しさ、自分の真垣に対する甘えからでた暴言が殺意をおこさせた理由ではないかと自分の過信による惨めさが強く感じられた。的場がその強烈な個性のゆえに理解されにくく傍若無人にふるまっていても、真垣を頼りにしたった一人心を許し彼なりに真垣を大事に思っていたことを知るたびに胸が痛くなる。「鬼哭」のラストで的場が真垣に残す一言がすべてを物語っていて悲しい。
『殺意』は加害者・真垣の視点から。... 続きを読む
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