タイトルのつけかたがうまい。これだけで本を買う人が2割(?)は増えたはずだ。13の殺人事件をとりあげてルポルタージュでまとめているが人をあやめることが、これほど日常的に行われていることにあらためて背筋が凍る。中には逮捕されたものの証拠不十分で無罪になったケースや一度無期懲役で服役しながら後に釈放され、また殺人を起こして死刑に至ったケースもある。
読み終えての正直な感想はむなしさ、やるせなさ。それぞれの犯人には、犯人なりの「殺す理由=動機」があったわけだが、それにしても被害者になった人たちと親族、友人たちの悲嘆ははかりしれない。いま、死刑制度に対して激しい議論が展開されているが、服役中に反省するのではなく、復讐への怨嗟ばかりをつのらせる殺人犯が多いことを考えると、“死刑やむなし”という思いもつのる。同時に、ここに再現されている13の殺人事件は、いずれも防犯や自己防衛といった程度で防ぎきれないという事実も横たわっている。
殺人者はそこにいるのではなく、だれの中にもある「狂気」といいかえてもいい。人間の「業」について深く考えさせられる1冊。平和ボケした日本の社会への厳しすぎる警鐘と受け止めたい。