フランスのミステリを初めて読みましたが、これは傑作です。何がどう傑作なのかを書きたいところなのですが、何を書いてもネタバレになってしまいそうなので、つらいところです。若い男女の性欲と嫉妬の果てに起きた殺人事件。事件は、被害者の母親と犯人の二人の手記という形で語られます。事件そのものは計画殺人ではなく、ついかっとなって殺してしまったという単純なものですが、目撃者がいないのを幸い、犯人は二人の被害者がお互いを殺し合ったかのように偽装します。偽装はうまく行くのですが、時効が目前に迫った頃になって思わぬ罠が・・・というストーリー。このあらすじからわかる通り、基本的にはサスペンス小説なのですが、最後まで読み終わった後に最初から読み返したくなること必至です。
併録の『連鎖反応』はユーモア・ミステリ。浮気相手の女性が妊娠してしまった為にお金が必要になった青年が、出世の為に自分の勤め先の社長を殺そうとするという物語です。社長が死ぬと副社長が社長になり、次長が副社長になり・・・・という具合にみんなが一段階ずつ出世するので自分も課長になれるという目論見です。両作とも、読み始めた当初は思いも寄らなかった結末に読者を導いてくれます。