「そして誰もいなくなった」を意識して書いた大意欲作です。
普通に「そして誰も〜」をただなぞるだけでは、「”作者の挑戦”としてとらえてみてどう思うか?」、「読者が読み進めていて面白いか?」、という二つの疑問の両方に「つまらない」としか言えません。しかしこの作品はそこをちゃんと理解して書かれているのがスゴい。
まず最初に作者の言葉として「この作品のメイントリックには双生児が関わります」ということをはっきり明示。これで否が応にも読者は”双子”に注目せざるをえません。
次にAパートとして、双子の起こす一風変わった強盗事件の話が、Bパートとして、豪雪地帯の旅館に招待された人々の間に巻き起こる連続殺人事件の話が、A、B、A、Bというように、交互に語られます。
これによって、「AとB、二つの事件はどこで交わるのか?」という小説的な興味をそそる効果を挙げる一方、二つの事件をテンポよく交互に語ることで、だらだらとした展開になることを抑える効果も挙げています。
閉鎖環境下での連続殺人事件、などというのは今までにも相当な作品数が書かれてきましたからどうしても退屈になりがちだと思いますが、それを強盗事件のパートを挟むことで読者の興味をうまく繋げているのですから流石です。
オチもかなり意外だったので、読んでいて非常に楽しめました。
「西村京太郎=中高年齢層のサラリーマン相手に荒稼ぎしているマンネリ作家」という認識で、読まず嫌いをしていた自分が恥ずかしいぐらいです。