長編だった前作から原点に戻って連作短編集。しかし危ぶむことなかれ、長編であろうが短編であろうが面白さは変わっていません。
あいかわらず洒脱な雰囲気は健在で、ケラーと共に旅をするうち、都市生活者の悲哀や寂寥や滑稽さに身を包まれ、殺し屋の話であるにもかかわらず、静かな酒場で一杯やっているような穏やかな気持ちになれます。
2001年に起きた世界的な事件が影を落としていて、空港のセキュリティが厳しくなりレンタカーで移動をせざるを得なくなったケラー。
第一作からつづく皮肉なユーモアがそこかしこに見受けられます。
人を殺したことではなく例の事件のショックで吐いてしまったり、あげくはグラウンドゼロで働く人たちのためにボランティア(笑!)に参加したり。
ラストのうさぎのエピソードがこの作品世界を端的に表現してます。善悪や倫理観を超えたところにある人間のおかしみや矛盾。次回作で終焉をむかえるのが本当に惜しい作品です。
待ち焦がれていた続編『Hit and Run(原題)』が来月発刊されるとのことで、うれしさついでにレビュー。お目汚し失礼しました。