平安貴族と言えば典雅、優美、絢爛。
和歌を詠んだり、管弦に興じたり、恋愛にいそしんだりと、実に文化的な暮らしをしていた…そんな風に考えてしまう。
だが、実際はそうでもない。貴族といっても人間である。
身分が高貴で財力があるというだけで、やってることは普通の人間とそう変わりない。
他人に嫌がらせをしたり、果てには暴行におよんだりもするのだ(といっても実際には自分の手下にやらせるのだが)。
むしろなまじ地位があるだけに、普通なら許されないことでもやってのける。
驚くことに、当時の貴族には刑事罰というものがほぼ皆無だったという。
人を殺してもせいぜい謹慎や厳重注意ぐらいのもので、ちっともダメージがないのである(これは身分の低い人間を殺しても、という意味で、貴族を殺せば当然ながら大問題になる)。
特に上級貴族などは、ろくに才能がなくても出世するものだから余計にタチが悪い。
現代でいえば「金持ちで甘やかされて育ったボンボンが、ゴロツキを雇ってムチャクチャしている」というイメージだろうか。
貴族の蛮行を紹介してくれる、非常に楽しめる一冊である。