この作品の購入理由は和製タイトルに惹かれたから。
「残酷の人獣」 そこはかとなく江戸川乱歩的なドキドキ感ただよう、B級っぽくていいタイトルだと思いませんか?
さて、内容はというと・・・・・意外にも(笑)正統派の古典ホラーとしてなかなかの佳作でした。
バート・ランカスター主演の「ドクター・モローの島」(77) と同じH.G.ウェルズの原作に材をとっており、メインキャラクターの配置もほぼ同じなので、見比べてみるのも面白い。あちらは社会派SFとしての側面を強調して、見ようによっては白人支配層の圧政に暴動を起こす有色現地人のような構図になっていたが、こちらは原作に登場する獣人の一人である豹男のみに絞って、人の似姿である「怪物の哀しみ」を描いています。
70年代に時々日本でもやっていた、「ハリウッド俳優を現地に招いて自国監督がとる」形態のフィリピン・米国合作映画。
なのでジェラルド・デ・レオンも日本人にはあまりなじみがないフィリピンの監督ですが、腕は確かです。
謎の「血の島」に靄をついて近づくボート、突然舷側から垂れ下がる人間の腕・・・という冒頭シークェンスのメリハリの利いた演出、無人の村を彷徨う主人公をロングでとらえるシーンでは物陰からのぞいている(であろう)怪物の視線と一致させたカメラワーク、屋内シークェンスでは壁にうつる影を効果的に使用した恐怖演出・・・と、見事な力量を示してくれます。
個人的には「これで博士のキャラクターをピーター・カッシングがやってくれていたらなぁ・・・・・・・」と、思わずないものねだりをしてしまうぐらいの出来でした。
「人」の業を離れた新たな「人」を創出しようとする博士、次第に「人」に近づく怪物におののく人々、望んだわけでもないのに「人」の似姿にされていく怪物の恐怖・・・・・古典ホラーのファンにオススメです。