現在社会的な問題になっている、虐待が主要な要素になっている現代の物語です。雑誌の連載時にもかなりの反響があり、虐待の実態も表面化しないものがかなりの数あることがわかる反応のようでした。同漫画家の「メッシュ」の中にも暴行を受ける少女が出てきますが、後に癒されるシーンが出てきます。これと同様にこの物語の主人公も義理の兄によりその傷を埋めていくように愛情を受けていきます。虐待の始まりとその過程、そしてそれがどのように終わるのか。しかし、終わったその後も心の中の虐待の傷は主人公を蝕んでいきます。そして、その傷に必死で向かっていこうとする義兄。一進一退を繰り返すそのさまは、おそらく実際のこうした闇を照らしていくときにも、とられるプロセスなのではないかと思われます。終わるとも知れない残酷な神の支配する国、そこに共に歩んでくれる人間が実際には必要なのではないかと思われました。
小説「永遠の仔」よりも先に登場した問題作です。漫画ならではの、手法による心理描写は、おそらく他の漫画家の表現技術の追随をゆるさないでしょう。人が人と向き合うということ、このことをもう一度熟考できる作品と言えるでしょう。