登録情報
|
本作品は、まさに桐野夏生にしか描けない世界。
25年前の少女誘拐・監禁事件の被害者で、現在は作家となった「小海鳴海」こと生方景子。彼女の元に出所した犯人から手紙が届き、彼女は失踪。物語は、夫が出版社に彼女の手記を送付するところから始まる。
夫の手紙→犯人の手紙→小海鳴海の手記→夫の手紙
と、手紙と手記のいという珍しい構成の作品である。
小海鳴海の手記のなかで、彼女が明かさなかった少女誘拐・監禁事件の真実が明らかにされる。
わずか221ページであるが、内容はぎっしり。作者独特の「毒」がきっちり詰まっている。
作品の「重さ」と「テンポ」は通常相反するのだが、本作品の場合、重苦しい内容ながら、ついついページをめくってしまい、私にとって、「幻夜」に続く2作目の徹夜本となった。
「OUT」「ダーク」「グロテスク」の作品を楽しめた方には是非お勧めである。
余談であるが、「OUT」の英語版が、日本の小説として初めてMWAが主催するエドガー賞最優秀長編賞にノミネートされた。ノミネートされただけで快挙といえよう
|