出版社/著者からの内容紹介
日本敗戦後、オランダとのインドネシア独立戦争に身を投じた元
日本兵
たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。"英雄譚"としてでなく、
"悲劇の主人公"としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、貴重な一
次史料を駆使して初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観
の変転を促す画期的論考。
日本兵
たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。"英雄譚"としてでなく、
"悲劇の主人公"としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、貴重な一
次史料を駆使して初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観
の変転を促す画期的論考。
内容(「BOOK」データベースより)
日本敗戦後、オランダとのインドネシア独立戦争に身を投じた元日本兵たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。“英雄譚”としてでなく、“悲劇の主人公”としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、徹底的なフィールドワークと貴重な一次史料の駆使によって初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観の変転を促す画期的論考。
カバーの折り返し
【小熊英二氏推薦!】
二〇歳の青年と、八五歳の元残留日本兵の邂逅から、六〇年を超える歴
史の旅が始まった。敗戦直後の青年が残したインドネシア独立戦争の陣
中日誌が、現代の青年の手によって貴重な一次史料として発掘され、一
兵士の足跡というミクロな歴史が、当時の国際的情勢というマクロな歴
史的背景のなかで叙述される。「棄民」と「英雄」という、二項対立的
な神話に押し込められてきた、インドネシア残留日本兵の実像が浮かび
あがる若手の力作。----小熊英二(慶応義塾大学教授)
二〇歳の青年と、八五歳の元残留日本兵の邂逅から、六〇年を超える歴
史の旅が始まった。敗戦直後の青年が残したインドネシア独立戦争の陣
中日誌が、現代の青年の手によって貴重な一次史料として発掘され、一
兵士の足跡というミクロな歴史が、当時の国際的情勢というマクロな歴
史的背景のなかで叙述される。「棄民」と「英雄」という、二項対立的
な神話に押し込められてきた、インドネシア残留日本兵の実像が浮かび
あがる若手の力作。----小熊英二(慶応義塾大学教授)
著者について
林英一(はやし・えいいち)
1984年三重県生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修士課程在学中。
専攻:歴史学、地域研究。
1984年三重県生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修士課程在学中。
専攻:歴史学、地域研究。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
林 英一
1984年三重県生まれ。2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業。現在、慶應義塾大学大学院経済学研究科経済学専攻修士課程在学中。専門領域は歴史学、地域研究。慶應義塾大学「平成17年度塾長賞」・日本学生支援機構「平成17年度優秀学生顕彰事業」学問分野奨励賞、「平成18年度優秀学生顕彰事業」学術分野大賞受賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1984年三重県生まれ。2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業。現在、慶應義塾大学大学院経済学研究科経済学専攻修士課程在学中。専門領域は歴史学、地域研究。慶應義塾大学「平成17年度塾長賞」・日本学生支援機構「平成17年度優秀学生顕彰事業」学問分野奨励賞、「平成18年度優秀学生顕彰事業」学術分野大賞受賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
「朝日新聞」」、2007/07/08
45年8月の敗戦後も、戦いを続けた日本人のいたことを知るたび
に、驚く人は多いだろう。中国を舞台にした映画『蟻(あり)の兵隊』の反響は
大きく、2年前にフィリピンであった元日本兵の「発見」はちょっとした騒動に
なった。そうした驚き中に、日本人の歴史認識の問題点が見えるのでは----との
視点から一冊の本が生まれた。『残留日本兵の真実 インドネシア独立戦争を
戦った男たちの記録』(作品社)。筆者は23歳の若者。戦後日本社会が描き続
けてきた戦争像を問い直す作業だ。
主人公のラフマット小野さんは北海道出身で87歳。日本の敗戦後に始まった
オランダからの独立戦争でインドネシア軍の一員として4年にわたり各地を転
戦。大きな戦果を残す一方で、片腕を失った。現在はインドネシア・ジャワ島東
部の小さな町に住んでいる。この戦いに参加した日本人は9百余人で、うち5百
人以上が戦死・行方不明になったとされる。
に、驚く人は多いだろう。中国を舞台にした映画『蟻(あり)の兵隊』の反響は
大きく、2年前にフィリピンであった元日本兵の「発見」はちょっとした騒動に
なった。そうした驚き中に、日本人の歴史認識の問題点が見えるのでは----との
視点から一冊の本が生まれた。『残留日本兵の真実 インドネシア独立戦争を
戦った男たちの記録』(作品社)。筆者は23歳の若者。戦後日本社会が描き続
けてきた戦争像を問い直す作業だ。
主人公のラフマット小野さんは北海道出身で87歳。日本の敗戦後に始まった
オランダからの独立戦争でインドネシア軍の一員として4年にわたり各地を転
戦。大きな戦果を残す一方で、片腕を失った。現在はインドネシア・ジャワ島東
部の小さな町に住んでいる。この戦いに参加した日本人は9百余人で、うち5百
人以上が戦死・行方不明になったとされる。
筆者の林英一さんは84年の生まれで、慶応大の大学院生だ。インドネシア語
の研修で3年前に小野さんに出会い、驚いた。何度も通ううちに、激しい戦争の
中で書き続けた詳細な日記を小野さんから託された。
この日記を手がかりにして、林さんは、なぜ自分が驚いたのかを解剖しようと
試みた。単に残留日本兵という存在を知らなかったからではないとの発想だ。
小野さんの記憶と日記を突き合わせ、小野さんが日本軍を離脱した理由を追い
求めた。その結果、植民地からの独立のために自発的に身を投じた「英雄」、あ
るいは祖国に見捨てられた「棄民」という戦後社会に深く根付いた二項対立的な
視点では、理解できないことの思いに至る。
「残留日本兵という存在は日本・インドネシア双方の都合により、声を与えら
れ、時に奪われ、結果として実に多様なイメージに彩られてきた。しかし、そう
した像には、どれも正鵠(せいこく)を射たものはなかった」「戦後長らく『虚
像』が歴史を支配し、『戦争の記憶』という後づけの説明によって、残留日本兵
の物語を消費してきた」「もっぱら推測と思い込みの世界で語られてきた」と指
摘する。
さらに、その原因を「戦後日本社会のまなざし」に求める。「戦後日本人は、
戦前と連続するアジア認識の中で、今もアジアを発見すると同時に見失い続けて
いるからだ」と。
太平洋戦争の終結から60年余。何が見えていなかったのか、を考えさせられ
る一冊だ。