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今作品は言葉が消えていく世界という究極の虚構世界を舞台にしており、一見すればこれまでの氏の作品同様、筒井節が遺憾なく発揮された作品に仕上がっている。作品の着眼点、そこから派生する作品構造など、言葉の専門家たる小説家が為し得る知的ゲームの臨界といった出来栄えで、非常に野心的、刺激的だ。言葉がなくなり制限されゆくなかで、文体は柔軟に変化し、後半、言葉がほとんどなくなった世界では限られた音を重ねるため、文章が詩のように韻を踏む文体になり、ぎこちなく、それでも止まることなく物語が進むそのさまは、まるで電池の切れかけた玩具の車が懸命に走り続けようとしているようで、滑稽でもあり、また切なくもあった。
しかしそういった超虚構世界を舞台に選んだにも関わらず、今作はぎゃくに氏自身の内面の吐露がいちばん色濃く出る結果になった。それが非常に興味深い。両親との関わりや自分の過去、文学観など、これまでになく自身の内面に踏み込んでいる。言葉が制限されるなかで、内面の吐露がぎゃくに制限を緩めたのだ。そんななかで語られる「弱いから反抗するのだ」「一生反抗だろうな」などの言葉は涙が出るほどに切ないし美しい。氏が一見悪ふざけともとれるような小説を書き続けてきた裏に、痛切なる決意があったのだと思うと、氏の過去作品のどれもに新たな感銘が生まれてくるのだ。
あと10文字~5文字で仮名が全て無くなる、というくらいの時が
一番面白いのでは?
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