子供の頃、祖父母からB29の爆撃の話を聞かされた人は意外と多いのではないでしょうか。そのとき、わが国の戦闘機や高射砲は何をしていたのでしょう?
日本本土爆撃の被害の面を取り上げた本は数多くあるのですが、日本側がどのように反撃していたのかを調べようとすると、意外なほど文献は少ないです。パイロットの自伝や戦記はあるのですが、本土防空戦全体を俯瞰してかつディティールもフォローしたノンフィクションとなると意外なほど少ない。この本は、そういった本土防空戦のまさに基本文献となるものです。
基本的には、時系列に沿って、エピソードを織り交ぜながら、米側の爆撃とそれに対抗する日本側戦闘機部隊(陸・海)の様子を描いています。
単に日本本土爆撃と言っても、B25の初空襲→B29の中国から九州への爆撃→サイパンからの工場などを狙った精密爆撃→焼夷弾を用いた夜間無差別爆撃→艦載機による空襲→中小都市への爆撃→2度の原爆投下・・・といろいろな段階があったことがわかります。
また、日本側も結果的には敗北したとはいえ、手をこまねいていたわけではなく、さまざまな対抗手段を考えて実践していたことがわかります。
私たちの国が一番最後に経験した戦争、そして生まれ育った町が空襲された歴史をもっている人も多いことでしょう。
歴史認識をきちんともつためにも読んでおきたい一冊です。
難を言うなら、エピソードよりも事実の描写に重点をおいているため、全体に淡々としているところでしょうか。ノンフィクションとしての面白さを求めるなら柳田邦男「零戦燃ゆ」がお奨めです。