タイトルも含めて自分のツボであった。「死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国」。完全にノンフィクションなのだが、文体は妙に文学的である。しかし私の国語力の貧弱さが原因なのか、その手法に慣れることが出来ず本書を読み難くしている。また翻訳の原因なのか、そもそも原作がそのような文体なのか分からないが、私には文章から俄かに映像が出てこない部分が多い。過度な文学的表現が実態描写を知ろうとする意識を無用に読者から逸らしてしまう点が残念である。また頻繁に変わる描写の視点が、著者なのか、取材対象者なのかが、かなり注意深く読んでいないと分からなくなる点にもあると思う。
また「改悛者」のような表現がなんの予告なく登場させる書き方に代表されるように、本書の言葉の定義は読みながら理解しなければならない点も読み難さを助長させているかもしれない。願わくば森功氏のようなノンフィクション・ライターだったら、もっと良かったかもしれないと思いながら、一応最後まで付き合う次第である。