ある事件の犯人が、次の事件の被害者になり、さらにそうした奇怪な
事態が連鎖的に続いていくという大がかりな趣向が試みられた本作。
矢継ぎ早に事件が起こるなか、第三の事件で
××を彷彿させる奇禍を
描くことによって、一旦事件間の繋がりを断絶させ、それまでの探偵役
の推理を崩しているのが巧いところです。
再び事件の連鎖が始まり、最終的に浮かび上がる全体の構図がどうなるかに読者
の興味の焦点は絞られると思うのですが、予想を次々に裏切っていく、どんでん返し
の連続には驚かされます(“医者”という職業や、犯人と被害者の関係性についての
“常識”を覆す逆説が鮮やかです)。
何より、最終的な真相を解き明かすための伏線が序盤から
何重にも張り巡らされていたことには、感嘆させられました
(とくに、ある事件現場に残された不自然な指紋が印象的)。