SFと比べると数少ないですが、ビジョルドのファンタジーはどれも好きです。でも、この作品はすこし拍子抜けです。
ロマンスも物語の大事なポイントですが、お話としては案外簡単に好き合った二人が、後はひたすら親の許しを得るべく奮闘するような展開です。
物語世界の構成も弱く、この点ではチャリオンに及びません。どうしたことか、主人公たちの設定が物語世界の広がりの障害になっているように感じます。以降につながる目立った伏線もなく、まるで結婚相手の家族を懐柔するのがテーマのような・・・。こうなるとビジョルドのうるさ型の語り口が煩わしくなります。
それでも一気に読んで楽しめるのがさすがにビジョルドですが・・・。期待が大きかっただけに、評価は辛めです。今後の展開で、「傷心の主人公たち」が勇気をふるってストーリーを一気に駆け抜けていく、そんなスピード感がもどってくることを期待します。