死体写真家・釣崎清隆氏の文筆業の集大成的大著。
1994年より"究極の被写体"として死体を撮影、世界各国の無法地帯や紛争地域を取材した経験を活き活きとした筆致で描きだした名著『世界残酷紀行 死体に目が眩んで』(2000年/リトル・モア)の続編とも云える本書は、死体写真家として十七年目、一千以上のヒトの死を凝視し、辿り着いた孤高の境地であり、その研ぎ澄まされた洞察眼と、思考停止的に死を禁忌視する現代文明社会への批評は前著と比べて歯切れのよい文章はそのまま、静謐になり、より重厚となっている。いくら筆の立つ作家や評論家がいようともリアルに書けるのは釣崎清隆、唯一人である。
アイカワタケシ氏によるアートワークも素晴らしい。「911」をモチーフにしたとのことだが、私には「311」の黙示録のように見える。