宿敵公会議勢力との戦いを前に嘗ての友軍マークス種族に共闘を呼び掛けようと試みる新アインシュタイン帝国の攻防を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第361巻。本巻の執筆者は、実力派の両雄共演ヴルチェクとエーヴェルスです。新アインシュタイン帝国の国家主席アトランは嘗ての同盟種族マークスに共闘を呼び掛けるべく、USOスペシャリストのロナルド・テケナー大佐を彼らの軍事拠点ルックアウト・ステーションへと派遣する。本巻は2編ともアトランの故郷銀河編です。
『死者たちの声』エルンスト・ヴルチェク著:テケナーはマルティ・サイボーグと化したマークスの友人グレク24と同行し宇宙駅に潜入するが、そこで彼らを待っていたのは何と三千体ものマークスの死体だった。久々登場ヴルチェクは時折洒落た小ネタで笑わせてくれると共に、得意の不気味なSF怪異現象で読者の背筋を凍らせます。『オヴァロンへのメッセージ』H.G.エーヴェルス著:惑星ラスト・ホープで奪取した通信装置ダッカルカムにより国家主席アトランは遠く三千六百光年以上離れたグルエルフィン銀河のカピン種族のガンヨ(皇帝)オヴァロンに向けて協力を呼び掛けるメッセージを送る。本編では嘗て人類と共に戦った時代から137年後のカピン世界の退廃した姿が描かれ、過去のアルコン帝国を思い出して何処も同じかと感慨に捕われました。老齢に勝てないオヴァロンの運命に一時代の終焉が感じられますが、同時に人類の呼び掛けが契機となり再び力強く復活しそうなカピン種族に希望の萌芽を感じ励まされました。
本書の翻訳者代表の青山茜氏のあとがきは、電車内で表紙カバーのまま堂々と本を読む車内宣伝を推奨されています。本書カバーにはローダンの勇姿がありますが、残念ながら本編には登場せずまたも再会はお預けとなりました。でも挫けずに三度目の正直を信じてひたすら次巻を待ちましょう。