疑似科学者と称され、と学会あたりとも衝突しているらしいコンノケンイチ氏。
氏の著作では、科学的な反証が不可能であるものばかり提出する、と言われている。
「科学書」を求めている人は他の本を当たった方がいいだろう。
この本のタイトル「死後の世界を突きとめた量子力学」も、かなり煽り気味だが、これを「量子力学が人間の生命の本当の姿を突きとめた、という風に解釈したい」とすれば、本書の内容に少し近づくだろうか?
ただ、この本が娯楽として「面白く」感じるのは、要は、今日の科学がいかなる哲学の上にも乗っていない(哲学がない、というのが一つの哲学というのであれば別だが)、ということを皆が忘れているからだ。
量子論が提示するものは誰も理解できないが、それは著者が解釈すれば、人間と宇宙の真の姿を示しているのですよ、といいたいのだろう。そこが現代合理思想の根源的欠陥だから。
そこで著者は、いつでも死後の世界と行き来できたという18世紀の科学者スウェデンボルグや、E.キューブラー・ロス博士の著作や、聖書、般若心経とかから切り文で引用したりしている。
スウェデンボルグのことは知らないが、般若心経や仏典の解釈には間違いがある。
スピリチュアル系の人が好きになってしまうかも知れない。
ただし、ホーキンス理論の批判の中で「虚数を使っている。虚数などというものがこの現実世界にあるか」という旨のことを述べているが、数学なくして量子論もないのであって、それは量子論そのものを否定していることになる。
それにも関わらず、「量子論が死後の云々」と量子論の成果を自己の主張に結びつけている。
これは自家撞着である。
娯楽として読むのはいいかもしれないが、まともに議論の対象になる本ではない。
物質は粒子であり、波である・・・。随分、怪しげな処まで来た。計量するできるものをのみ対象とするというメソッドの上に構築された科学も袋小路に来た感がある。
我々はベルグソンの哲学をもう一度吟味してみる必要があるのではないか。