以前から手元に置きたきソフトだったのですが、ボックスセットのみの販売形態を取られていたために購入するのを躊躇していましたが、今回漸く単品発売されるにあたり良い機会と思い注文したのです。ほぼ50年を経過している作品にしては画質が大変良く、購入した甲斐がありました。“デジタル・リマスター”を謳っていても実際はさほどでもない場合が多く失望させられる事もしばしばであるため、正直余り期待はしていなかたのですが、片面一層ディクとしてはほぼ文句のない画質と存じます。フィルム傷やノイズ状のものもあまり見受けられず、安定したビットレートで物語を堪能することができました。
独創性のある映画に与えられる「ルイ・デリュック賞」を過去に受賞作品においてはロベール・ブレッソン『田舎司祭の日記』、アラン・レネ『戦争は終わった』、クロード・ソテ『すぎ去りし日の…』ジャン=リュック・ゴダール『右側に気をつけろ』など映画史上における真の傑作に冠せられている事が多く、信頼できる賞という印象を持っているのですが、本タイトルは1957年の受賞作品です。冒頭のジャンヌ・モローのクロースアップ(厚化粧しておらずあえて肌のきめを露わにしているような部分までDVDが再現しています)から始まるモーリス・ロネ扮する退役将校との電話でのやりとりなど、緊迫感に満ちたやりとりで観ているものを一気に物語に引き込みます。そしてマイルス・デイヴィスのすばらしいスコア。モノラルサウンドでありながら厚みの感じられるサウンドトラックは、あてどもなく夜のパリをさまようジャンヌ・モローの姿との見事な交感があります。完全犯罪計画を実行した不倫カップルがアクシデントにより計画が狂ってゆくさまなど、サスペンスの要素も含有してエンターテインメントとしても楽しめる作品に仕上がっています。公開時25歳だったルイ・マルの、まさに溢れるような才気。