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死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人
 
 

死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 [単行本(ソフトカバー)]

池谷孝司(編著)、真下周(著)、佐藤秀峰(イラスト) , .
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,470 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

「私は生まれてくるべきではなかった」。そう言い残して2009年夏、25歳の若者は死刑になった。
16歳で母親を殺害し、少年院を出た後、再び大阪で姉妹刺殺事件を犯した山地悠紀夫元死刑囚。
反省はしないが、死刑にしてくれていい。開き直った犯罪者の事件が続く。秋葉原の無差別殺傷事件、茨城県土浦市の連続殺傷事件・・・。
彼らは他人と自分の死を実感できていたのか。死刑にするだけでなく、なぜそうなったのか、どうすれば防げるかを考えるべきではないか。そうでないとすぐ次の凶悪犯が生まれるだけだ。
事件を起こした山地悠紀夫死刑囚は少年時代に広汎性発達障害と診断され、後に精神鑑定では人格障害とされた。
16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみをえぐりだす渾身のルポルタージュ。
裁判員裁判が開始された今、一般市民が死刑の評決を下さなければならない時代。だからこそ読んでほしい一冊!

全国の新聞18紙に連載(2008年3月~7月)
室蘭民報/東奥日報/山梨日日新聞/ 新潟日報/ 静岡新聞/岐阜新聞/福井新聞/大阪日日新聞/日本海新聞/山陰中央新報/山口新聞/四国新聞/徳島新聞/高知新聞/ 大分合同新聞/長崎新聞/熊本日日新聞/南日本新聞

内容(「BOOK」データベースより)

反省はしないが、死刑にしてくれていい。開き直った犯罪者の事件が続く。秋葉原の無差別殺傷事件、茨城県土浦市の連続殺傷事件…。彼らは他人と自分の死を実感できていたのか。死刑にするだけでなく、なぜそうなったか、どうすれば防げるかを考えるべきではないか。そうでないとすぐ次の凶悪犯が生まれるだけだ。16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみをえぐりだす渾身のルポルタージュ。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 286ページ
  • 出版社: 共同通信社 (2009/10/2)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4764106043
  • ISBN-13: 978-4764106048
  • 発売日: 2009/10/2
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 発達障害に対する過剰な反応, 2010/1/2
レビュー対象商品: 死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 (単行本(ソフトカバー))
第1に、母親を殺害し数年後に2人を殺害した加害者の経歴や行動を知るうえで、犯罪に関心を持つ人にとって有用である。よく取材してあり、感心した。

第2に、発達障害についていろいろと書いてあり、「発達障害を持つ大人の会」の活動の紹介もあり、発達障害の認識を広めることができると思われる。

第3に、この本は広汎性発達障害に過剰に反応し過ぎている。
 加害者は、広汎性発達障害なのか、人格障害なのか、専門家の意見が分かれており、裁判での鑑定では人格障害だと判断されている。したがって、加害者が広汎性発達障害だとの断定はできないし、鑑定意見に従って「人格障害」と考えておくべきだろう。
 しかし、この本では広汎性発達障害に関する論述が非常に多く、本来、「仮定」の議論のはずなのに、加害者が広汎性発達障害と関係がありそうな印象を与えてしまう。加害者が広汎性発達障害ではないとすれば、広汎性発達障害に関する記述はこの事件とは関係がないことになる。広汎性発達障害に関する認識を広める目的であれば、わざわざ凶悪事件と結びつけて書くべきではない。
 もともと広汎性発達障害は犯罪とは関係ないのであり、ほとんどの人は事件を起こすことなく生活している。加害者が広汎性発達障害だと断定されていないのに、凶悪事件に関して広汎性発達障害について述べることは、「発達障害が事件と関係がありそうだ」という間違った印象を読者に与えるだろう。
 仮に、鑑定書が述べるように加害者が人格障害者だとすれば、発達障害に関する記述は、いったい何のために書いてあるのか。

第4に、この事件を防止するにはどうすればよかったのか。
 著者は、「精神面で障害のある人を孤立させてはいけない」と述べるが、これは発達障害を想定しており、人格障害に関してはほとんど研究がなされておらず、「お手上げ」というのが現状だろう。ほとんどの重大事件の加害者が社会から孤立しているのであり、「孤立」は発達障害者特有の問題ではない。著者は「発達障害があれば、孤立しやすい」と述べるが、発達障害があってもなくても、孤立しやすい人間は孤立する。人格障害者は孤立しやすく、日本やアメリカで人格障害者が増えている。アメリカでは人口の15パーセントに人格障害があるという見解があるくらいである。孤立を問題とするのであれば、発達障害者を問題とするのではなく、孤立しやすい人間を問題とすべきであり、ことさらに発達障害を問題とする必要はない。
 また、「発達障害のあること」が孤立を招くのではなく、「日本の社会が孤立させやすい」ことが人間の孤立を招くのである。ユニセフの2007年の調査では、日本の子供の中で孤独を感じる者の割がは29.8パーセントであり、先進24か国中最低だった。オランダは2.9パーセントである。日本は他人と違った人間を受け入れにくい社会であり、個性的な人間が孤立しやすいのであって、「発達障害」だから孤立しやすいのではない。秋葉原の大量殺傷事件の加害者も社会から孤立していたが、今後、「○○障害」というレッテルが貼られるかもしれない。少なくとも、重大事件を起こすような人間は人格障害に分類される。しかし、それが犯罪の原因ではなく、「○○障害」にとらわれる考え方では、この種の事件を防止することはできないだろう。
 犯罪は多様な要因から起きるのであり、発達障害や人格障害、行為障害が犯罪の原因ではない。万引を繰り返す少年は行為障害とされるが、行為障害があるから万引をするのではなく、万引を繰り返すような者を行為障害の1類型にしたのであり、「反社会的行動者」と言い換えてもよい。発達障害は生物的要因があるが、発達障害者で事件を起こす者もいれば事件を起こさない者もいる。その点は、発達障害のない者で事件を起こす者がいれば事件を起こさない者もいるのと同じである。つまり、犯罪との関係では、発達障害の有無は関係がない。
 加害者のあまりにも劣悪な生育環境や人間関係のもとでは、偏った人格が形成され、些細な理由から事件が起きてもはおかしくない。歪んだ人格が形成された後に、例えば、「むしゃくしゃした」、「生きるのが嫌になった」、「何となく」などの理由から重大事件を起こすことは珍しくない。犯行の動機を聞かれても加害者自身が動機が「よくわからない」という事件もある。凶悪事件の加害者の多くが偏った生育環境で育っている。一見、「普通の子供」に見られる者が起こす凶悪事件についても、その生育過程を子細に見れば、相当に偏った生育環境がある。障害の有無は人格形成過程のひとつの事情でしかなく、障害について事件との関係でことさらに大きく取り上げても意味がない。かつてのブータンにはほとんど犯罪がなく、まして子供の凶悪事件は考えられない。発達障害者はブータンにも一定比率で存在するはずだから、発達障害の有無は犯罪とは関係ないことがわかる。人格障害者はアメリカに多く、ブータンに少ないのは、人格障害が生物的な原因によるものではなく、環境の産物だからである。
 この事件を防止するために必要なことは、加害者のようなあまりにも劣悪な生育環境をなくすることと、犯罪の更生のシステムを確立することである。犯罪更生のシステムは対象者の個性に応じてプログラムを考えるべきであり、障害があればそれに応じて検討されるべきであるが、そこでは、障害は、人格や性格、趣向、癖、家族関係などと同じく、対象者の属性の一部に過ぎない。障害がなくても、例えば、「他人の影響を受けやすい」という個性の持主については、それに応じた慎重な更生プログラムや援助が必要であり、日本にそれが欠如していることが大きな問題なのである。人間の多くの属性の中で発達障害をことさらに取り上げるのは、「発達障害ー孤立ー犯罪」という図式的な思い込みがあると言われても仕方がない。
 この事件は母親を殺した点で加害者の異常性が強調されやすいが、日本では親子間の殺傷事件は多く、親子間の殺人未遂事件や傷害事件のほとんどはマスコミ報道されない。また、複数の被害者の殺傷事件も日本では珍しくない。犯行の動機が解明できていない点が問題とされるが、そもそも、加害者の動機や感情が「わかる」ことができるのかということを再検討する必要がある。他人の動機や感情が「わかる」とは共感性であるが、ひとりひとり人間は異なるので、他人の行動をすべて理解できるとは限らない。異常な人間が増えれば、理解不能な行動も増える。
 一般に、凶悪事件の動機を「理解」できれば、人々は安心し、理解できなければ社会不安を招く。「人を殺してみたかった」、「誰でもよかった」という事件では、加害者に「○○障害」というレッテルが付くと人々は安心する。ブータンで犯罪が少ないこととの対比で考えれば、事件を「加害者の異常性」や「障害」(人格障害や行為障害を含む)に解消させて安心するのではなく、この種の事件が珍しくない日本の社会の異常性にもっと不安を感じる必要がある。犯罪の防止のためには、個人の障害や人格のレベルを超えて、社会、政治、経済、教育、文化、思想など、より大きな視点から考える必要がある。
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34 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 では、どうすればいいのか?, 2009/12/11
レビュー対象商品: 死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 (単行本(ソフトカバー))
16歳で実の母親を、22歳で女性二人(姉妹)を殺し、25歳で死刑執行となった男、山地悠紀夫を追った筆者渾身のルポルタージュ。
この本を読んでまず感じるのは、膨大な量の取材を実に簡潔にまとめあげている事。そしてそれは山地という人物を中立的な立場で、多面的に浮き上がらせる事に見事成功している。

「母を殺した時の感触が忘れられなかった」
姉妹を殺害した時の動機として山地が言った言葉である。このセリフを聞いた時は単なる快楽殺人者だと思った。しかし本書を読めばその判断が実に短絡的なものだという事に気付かされる。
今回の問題で重要なのは、彼の生育環境と持って産まれた「アスペルガー症候群」という発達障害の事であろう。この二つが直接事件の原因となっている訳ではないのだが、彼を孤立させ混乱させる要因となっているのは事実だ。詳しくは本書を読んで頂きたい。
最後に、この様な悲劇を繰り返さない為に「では、どうすればいいのか?」
筆者はそこまでぐいっと踏み込んでいるのも見逃せない点だ。
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47 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 読みやすい、そして深い, 2009/10/18
レビュー対象商品: 死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 (単行本(ソフトカバー))
この本の元となった新聞連載記事で初めて発達障害と言う言葉を知った。人の気持ちがわからない、という障害に衝撃を受けたことを覚えている。
本では新聞記事よりずっと幅広く、かつ深められていて、一気に読めた。残虐な犯罪を犯すこととなってしまった原因のひとつに障害に対する無知とそれに伴う配慮不足などがあったこと、それから事件の細かい背景が良くわかった。
淡々と冷静に分析され書かれているが、だからこそいろいろと考えさせられる本だ。
記者の質問に答える形で専門家の意見なども載っているが、一般生活者の視点からの質問に答えていて、とてもわかりやすくなっているところもいいと思った。
どきっとする書名だが、内容は全く興味本位のところはない。深く、かつとても読みやすい本だと思う。
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