上野正彦氏。東京都の死体監察医として大活躍された有名な著者ですね。「死体は語る」も、だいぶ前ですが読ませていただきました。当時、とても感動した覚えがあります。
さて、今回の「死体は切なく語る」ですが…一つひとつのエッセイを読んで、不覚にも全部のエッセイで涙してしまいました。とりわけ母親が通り魔に襲われた時に、とっさに乳母車の赤子をかばいながらも…結果的に母親も赤子も包丁の一差しで亡くなられた事件…。また、一家心中で母親から射殺していった後目覚めていただろう子どもが目を手で押さえながら頭を銃弾で撃たれた事件も…読めば読むほど、タイトルに著者が「切なく語る」とつけた深い意味がとてもダイレクトに感じ取れる、そういう本でした。
親が子を、子が親を一瞬の激情で殺害してしまう今日この頃ですが、本著をお読みになって、是非そんな感情が湧いても…とどまって今一度こうした被害者の事柄を考えて欲しい、そんな素晴らしい本です。是非、一読を。