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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「忘れられない、別れられない」,
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レビュー対象商品: 死んでもいい ニューマスター・デラックス版 [DVD] (DVD)
“名美”を演じる大竹しのぶさんよりも、彼女を争って殴り合う男ふたりに気持ちが寄り添ってしまいます。わたしが男のせいでしょう。判官びいきかもしれませんが、当時二十代の綺麗 で締まった裸を果敢に見せる永瀬正敏さんよりも、眼鏡がいつも手放せず、急に酒にも弱くな って夜中にトイレに駆け込み、あげくの果てに妻を寝取られてしまう土屋英樹という五十代の 中年男に淡い親近感をさらに抱きます。 もちろん大竹しのぶさんと永瀬さんが性愛の坂道に身体を預けて転がるようにして墜ちて行 く、いや、どこまでも抱き合って高く高く舞い昇っていく姿も胸に迫って忘れられない。 どうしていいか分からなくなる、いつまでも魂が惹かれて抑えられなくなって相手の胸に追い すがってしまう。烈しい恋愛の渦中に陥った者にしか分からない物狂おしい波動に最初から 最後まで包まれていて、ついつい視線は捕えられ、気持ちが引き込まれます。 東雲、洲崎あたりの木工所、陽炎、白い日傘、鉄橋、運河、浮き桟橋…。 夏の陽射しに照らされながら並んでひっそりと歩いていく、男とおんな、ふたりぼっちの遠景 が凄く良いんですね。往年の上村一夫の抒情的な白く光った劇画風景が重なってくるような、 静かでしっとりした名シーンです。 それに比べて夫の英樹を演じた室田日出男さんは、“受け身”に徹して延々と耐え忍ぶんです ね。そのもどかしくさえある姿が純朴で素晴らしい。物語の中盤、若者との密会を目撃した後 で川辺に停めたランクルの中で妻を詰問するうち、夫は声を荒げて激昂して暴力を振るう寸前 となります。崩壊間際の危なっかしいところまで夫婦は追い詰められるのだけど、その時、 ぐわっと見開いた瞳から涙を溢れさせ、男泣きに泣き続ける室田日出男さんの掛けた眼鏡の レンズがいつしか曇っていくのです。涙が湯気となって白く結露していく。見ていてとても 切ないです。実際、確かにそうなりますものね。視界はぼんやりと霧がかかっていく、流れる 涙も加わって飴細工のようにぐにゃぐにゃに世界は溶けていくのに、それとは反対に心から愛 したひとの面影がやさしく眼前一杯に広がって呼吸を奪っていく。 室田さんは「忘れられない、別れられない」という言葉をやっとのことで絞り出すのですが、 その、人が人を愛してしまった時に運命付けられる“記憶の鎖”がこの物語の全篇を、いや、 石井監督の描く物語すべての根幹となって響いているように思われます。 『花と蛇』からしか石井作品を観たことがない若い映画ファン、特にいま誰かに恋をしている人に 是非観てもらいたいと思います。本当に素晴らしいいい映画だと思います。
5つ星のうち 5.0
室田日出男の最高の演技が観られます。,
By mnm (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 死んでもいい ニューマスター・デラックス版 [DVD] (DVD)
石井隆作品って、どれも冷めた目で観ると、なんでそんな地獄めぐりをしなきゃいけないの?なんでそこで逃げないの?別れないの?逢いに行ってしまうの?という馬鹿な疑問が浮かんでしまう。でも「この一瞬」をかつて男女が共有していたから、どうしようもなくそうしてしまうのだ、と説得させてくれる「この一瞬」シーンが素晴らしいんだと思う。「この一瞬」シーンを観れば、馬鹿な疑問は生じない。そして「この一瞬」シーンは結構映画の最初にも出てくるので、ちゃんと映画の世界に没頭させてくれるのだ。 『死んでもいい』では、もちろんオープニングの一目惚れシーンをはじめとして、若い男(信)と名美との関係を表す各種シーンが美しいんだけど、なぜそれが魅力的かというと、英樹=室田日出男と名美=大竹しのぶの「この一瞬」シーンがあるからこそ。室田日出男がいるから、単純に年取った旦那に愛想が尽きて若い男に走る、というつまんない話にならず、三角関係に異常なまでの緊張感が張りつめているのだ。 50過ぎの中年男の役が室田日出男そのものといえるくらいハマっている。東京の大学を出てサラリーマンをしていた時もあるが、今は大月という片田舎の小さな不動産屋の跡取り社長として商売をこなしている自信があり、愛する若い女房もゲットしている、という役どころだが、室田日出男の色気や調子のよいワルっぽさ、にじみ出る人の好さ、そしてそれが年を取ってちょっと枯れつつあるところに見事に合致しており、英樹は室田日出男そのものなのだ。 『人妻集団暴行致死事件』と似たような役柄だけど、『死んでもいい』の設定の方が室田日出男の魅力を最大限に引き出して撮っていると思う。 盛り上がってくるのは雨の夜、英樹が川縁に車を止めて名美の不貞を責めるシーン。英樹は怒りと悲しさとそれでも別れられない自分のどうしようもなさに涙が溢れ、名美は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで、でもどうしようもなくて泣いている。画面から二人の感情が流れ出してくるのに圧倒される。 そして最高なのはその後家に帰ったあとのシーン。一人でリビングで酒をあおりガウンのまま床に転がる英樹に、名美が毛布を掛け寄り添う時、英樹は目を合わさず無言、しかし底無しに優しい表情がちあきなおみの歌声とともにしっとりと心を濡らす!!石井隆作品の中でも最高の「この一瞬」シーンだと思う。 「この一瞬」が夫婦にあったにもかかわらず、信と名美の間にも「この一瞬」はあり、名美は信のことをきっぱりと拒否することができない。それが二人の男を狂わせ殺し合いとなり、名美を狂わせ美しくする。ほかの石井隆作品のようにヤクザとの殺し合いのような派手なアクションシーンは無く、男女3人の三角関係だけで話が進行する地味な作品だが、ほかの作品と遜色なく本物の緊張感があり、男女の行き違いによる悲劇はほかの作品よりも濃いくらい。それは英樹=室田日出男の強力な存在なくしてはあり得ない。 ピラニア軍団時代・死んでもいい以降の室田日出男の作品を追って観てみても、この作品を超える演技にはまだヒットしていない。たぶんこれが室田日出男の最高傑作なんだと思う。
9 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
最大の見せ場はなんといっても,
By 西川口ヒロシ "くろのす" (東京都品川区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 死んでもいい ニューマスター・デラックス版 [DVD] (DVD)
このDVDの最大の見せ場はなんといっても、大竹しのぶさんと永瀬くんの絡みでしょう。当時の旦那さんの明石家さんまさんが激怒したとかいうのが話題になりましたよね。 永瀬君の度重なるアタックに、遂に「閉めてきて」と囁く大竹さんの台詞がたまらないです。 「掛け布団が邪魔だよ」と叫んだのは自分だけではないでしょう。
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