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死を騙る男 (創元推理文庫)
 
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死を騙る男 (創元推理文庫) [文庫]

インガー・アッシュ・ウルフ , 藤倉 秀彦
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

小さな町の平穏は、その冷酷な殺人で完全に破られた。なぜ連続殺人犯は、末期の人々を手にかけるのか? 国難を抱えた女性警察署長が追う。大型新人が放つ迫真の警察小説!

内容(「BOOK」データベースより)

小さな町の平穏は、その殺人で完全に破られた。被害者は末期癌の老女。死体は喉が切り裂かれ、奇妙な細工が施されていた。小さな警察署を署長代理として率いるのは、61歳の女性警部補ヘイゼル。不可解な事実がつぎつぎと明らかになり、やがて事件はカナダ全土へと波及する…。困難を抱えた女署長と、謎に包まれた殺人犯の対決を圧倒的な筆力で描く、迫真の警察小説デビュー作。

登録情報

  • 文庫: 498ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2011/1/27)
  • ISBN-10: 4488217036
  • ISBN-13: 978-4488217037
  • 発売日: 2011/1/27
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 441,035位 (本のベストセラーを見る)
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「北アメリカの純文学作家の変名」という情報しかない、インガー・アッシュ・ウルフのデビュー作にして緊迫の力作。

とにかく全編にわたって異様な雰囲気の漂う作品である。カナダ太平洋岸の地方都市で個人的な教会を運営するサイモンと名乗る狂信的な司祭が、不治の病に冒され余命いくばくもない人びととネット上で死の契約を結び、彼らを順番に、特異な方法で殺して大陸を東に進んでゆく。トロントにほど近い田舎町ポート・ダンダスで11月、その十何番目かの“儀式”が執り行われた。被害者は末期癌の81才の老婆。

捜査に当たったのは本書のヒロイン・所轄の田舎町の警察署の署長代理で61才の警部補ヘイゼル。署は現場に立つ警官がわずか12人。凶悪な事件などめったに起こらない。統廃合の対象とみなされ、ヘイゼル個人は不本意な離婚を経験し、ひどい腰痛を抱えて鎮痛剤とアルコールに依存、87才の元町長の母親とふたり暮らしという設定である。

彼女は、日をおかずに近郊でまた発生した殺人事件とこの事件の類似点から、連続殺人ではないかという疑いを持つ。やがて自分の所管の管轄を超えた、さらには職掌権限までも超えて、カナダ全土に広がる‘ベラドンナ’と名付けた犯人の凶状の捜査を進める。

犯人の、死へと誘う異様な動機と、ヘイゼルたちの真相に近づく捜査の行方に、クライマックスのふたりの直接対決まで読者は思わずどんどん読み進んでゆくこと請け合いである。

本書は、‘ベラドンナ’と死の契約を結ばざるを得なかった人々の苦悩を背景に、狂信的連続殺人犯と、苦闘を繰り広げるヘイゼルのふたりをドラマチックに描いた問題作である。
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8 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
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トロント近郊の田舎町の警察署長(代理)の女警部補を主人公とした異色の警察小説という触れ込み。当該警察署は統廃合候補の憂き目に会っており、かつその長が61歳の女性ヘイゼルである点が特徴であるらしい。ヘイゼルは私生活でも上手く行っておらず、逆境と闘う女性をテーマとしたものか。これに、サイコパスによる異教狂信的連続殺人が加わる。

しかし、まずヘイゼルの性格が破綻している。全州にまたがる猟奇連続殺人事件が起きているのに、自らの保身のために自署内で事件を解決しようとする独善性と驕慢性。その上、アルコール依存症で仕事中にもアルコールを欠かさず、思考力・洞察力・統率力に乏しいため、捜査は行き当たりばったり。唖然とする他ない。一方、ヘイゼル達の捜査模様とカットバックで、サイコパスの行動・心理・境遇が描かれるが、造形が陳腐そのもので、こちらも呆然とする他ない。全体としてヘイゼルの私的物語を中心に描きたいのか、捜査過程・犯人との対決をスリリングに描きたいのかハッキリしない点も作品を茫洋としたものにしている。かなりの頻度で挟まれる風景・人物描写は丹念とも言えるが、些末な点を書き込み過ぎていて、作品のモタモタした印象を増長していると思う。それでいて、舞台の田舎町や主要登場人物を鮮明には描き切っていないのである。

普段触れる事のないカナダの社会事情(イギリス系・フランス系住民間の確執など)を垣間見られる点が唯一の取柄か。原住民居住区を舞台として登場させている辺り、本来は無縁社会、孤独死を含む高齢者問題・人種問題等を主眼とした社会派を目指している作家なのではないか。
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