祖父や祖母が亡くなっても、死はどこかまだ遠くにあると思っていたが、
同い年の友人が亡くなったりすると、突然、死は身近にあるように
感じる。この本を読んで、同じようなことを思った。
著者はがんの放射線治療の専門医ながら、宇宙から細胞レベルまで、
死についての考察は総括的で、自分がいかに死について無知であったか
を思い知らされた。
なかでも、本書に「間奏」として挿入されている、仮想闘病記は、
死を前にした将来の自分が予言されているようで、リアルな
死の予習となった。
死についての本は、「死を考えることで今をより良く生きる」という、
人生「哲学」的な教説が嫌でこれまで敬遠していたが、この本の態度
はあくまで冷静・冷徹でその筆致が逆にすがすがしく、
日々のささやかな励ましとなった。