僕にとってブコウスキーは、とてもまともな作家だ。
言うことの一つ一つに頷けるし、決して歪んだ考え方をしない人だ。
偏見だらけではあるが、それを自分の偏見として認識したうえで書いているので、
それは正直さと呼ぶべきだろう。
ブコウスキーの文章は誰でも読める。
文学として極めてシンプルに、簡素な表現でもって書かれているからだ。
けれどもその文章を読んでいると、まるで仏陀や、晩年のルソーの文章を読んでいるように、
しみじみとした、温かい気持ちに襲われる。
悪口ばかり書かれているのに、これは不思議なことだ。
まるで世の中の不出来や、人間の愚かさ、惨めさについて、ボヤいてるだけのように見えて、
その実人生に対しては、静かで、肯定的な感情もあわせ持っている。
特に、この晩年の日記には、そんなものを感じた。
突っ張るところは突っ張るし、酷いものは酷いと言う。けれども彼は、言葉を通して、
この世に生きられる喜びを、噛み締めていたのだと思う。