クロフツが元々鉄道技師だったことはよく知られていますが、じつは小説家としてデビューしてからもかなり長い間、鉄道技師との二足のわらじを履いていたのだそうです。その彼がいよいよ小説専業になった時期に発表されたのがこの作品です。本作は彼の鉄道技師という職業に対する愛情が溢れたもので、鉄道技師たちの間で起きる事件を題材にしたものです。鉄道技師という職業についての様々な蘊蓄が本作を彩っています。
クロフツと言えばアリバイ・トリックと相場は決まっていますが、本作はアリバイ・トリックを用いながらも、意外な犯人という路線にもなっています。この犯人の正体の隠し方は、作者が読者に仕掛けるトリックという面もあり、堅実な作品が主流のクロフツ作品にしてはやや異色となっています。