ずっしりした本書の内容を一言で表現すれば、「謎と矛盾に縁どられた「死」の問題に、著者が「哲学」の立場から取り組んだ記録と成果」とでもなるだろうか。
愛犬の死から書き起こし、死刑や殺人、安楽死や戦争、そして動物実験や肉食といったトピックスを、徹底的に哲学の立場から考察していく著者は、「死」という難問に取り組むが故に、堅実(=無難)な立ち位置に安住することなく、ギリギリのところまで踏み込んでいく。そこの展開が実にスリリングで、哲学の研究書でありながら退屈せずに読み進められる。
なお、「死」に関する著者の哲学的考察は、この一冊で完結しているわけではない(はずである)。これを暫定的な途中経過として読みつつ、ここからさらに思索を深めていかなければならない。「死」とはそれほどに難問だ、ということであろう。