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死の所有―死刑・殺人・動物利用に向きあう哲学
 
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死の所有―死刑・殺人・動物利用に向きあう哲学 [単行本]

一ノ瀬 正樹
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用――さまざまな倫理的問題に潜んでいる虚構とは何か? 「人格」「所有」といった近代的な概念が可能にしている“死をめぐる思考”を問い直し、社会制度や宗教文化をふまえた、私たちの死生観の深層を探る。和辻哲郎文化賞、中村元賞を受賞者した『人格知識論の生成』から、さらに現代の課題に挑む渾身の一作。

内容(「BOOK」データベースより)

死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用―さまざまな倫理的問題に潜んでいる虚構とは?「人格」「権利」といった近代的な概念をとおして「死」のありようを問い直し、法的領域と人文的領域をとらえて、死生をめぐる実践的課題を哲学する和辻哲郎文化賞・中村元賞受賞作を経て、アクチュアルな問題に挑む渾身の一作。

登録情報

  • 単行本: 408ページ
  • 出版社: 東京大学出版会 (2011/1/25)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4130101196
  • ISBN-13: 978-4130101196
  • 発売日: 2011/1/25
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.6 x 3.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 青ち
ずっしりした本書の内容を一言で表現すれば、「謎と矛盾に縁どられた「死」の問題に、著者が「哲学」の立場から取り組んだ記録と成果」とでもなるだろうか。

愛犬の死から書き起こし、死刑や殺人、安楽死や戦争、そして動物実験や肉食といったトピックスを、徹底的に哲学の立場から考察していく著者は、「死」という難問に取り組むが故に、堅実(=無難)な立ち位置に安住することなく、ギリギリのところまで踏み込んでいく。そこの展開が実にスリリングで、哲学の研究書でありながら退屈せずに読み進められる。

なお、「死」に関する著者の哲学的考察は、この一冊で完結しているわけではない(はずである)。これを暫定的な途中経過として読みつつ、ここからさらに思索を深めていかなければならない。「死」とはそれほどに難問だ、ということであろう。
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死刑制度の存廃をめぐる議論は、法務大臣が代わるたびに再燃し、新聞のオピニオン面を賑わすが、結局は水掛け論に陥って堂々巡りしているように思われる。議論が噛み合わない原因の一つは、死刑制度が近代の人権思想の上に成り立っていることを忘れ去ったまま議論しているからである。前提が食い違ったまま議論するので、当然噛み合うことはなく生産的な議論にならない。

本書では、17世紀の哲学者、ロックの人格論や所有論に立ち返って、死刑制度の議論を整理し、本当に考えるべき論点とは何かを導き出そうとしている。特に興味深かったのは、死刑存続の立場の主張で、「死んで詫びろ」というものがあるが、ここには死刑を通して被告が自らの死を差し出すという構図、被告があたかも自らの死を所有しているような不可解な虚構ができてしまっていると分析している点だ。これが、本書のタイトルでもある、「死の所有」である。

また、本書は、哲学が社会に対して何ができるかを示した好例でもあると思う。哲学といえば、とかく思弁的で理論的なイメージが強いが、きちんと現実社会の論争を解きほぐすのに役立つことが示されている。
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