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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
さようなら! 自由、新しい生活、死よりの復活,
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レビュー対象商品: 死の家の記録 (新潮文庫) (文庫)
“罪と罰”“白痴”“悪霊”“カラマーゾフの兄弟”といった超大作群を生み出す前に世に問われた作品で、その特異な構成は小説というよりは記録文学のはしり−に近い気がします。 すでにラスコーリニコフやスタヴローギン、カラマーゾフらの原形と思しき人々も描かれており、まさにドストエフスキーの出発点と言える作品です。 後期のドストエフスキー作品において特徴的な壮大な観念論や饒舌癖があまり見られないので読みやすく、その冷静な写実性が当時のロシア文壇で高く評価されたーと、解説にもあります。やはり感動的なのはラスト近くの“ここまで来たら、もう何もかも言ってしまわなければならぬ−”から始まる一文で、高校生の頃初めて読んだ時はただ感情的に、感動に浸っていただけなのですが、大人になってから読み返してみても、不当に失われた時間、才能、生命というものに対する共感の言葉としてまれに見る輝きをもった一文だなあ−と思います。 ドストエフスキーはあくまでもシベリア監獄の囚人達をおもって書いている言葉なのですが、これは不当な苦しみにあえいでいる、すべての善良な人達に対するいたわりの言葉として通用すると思います。 今では廃れてしまった言葉ですが、こういうのを“世界文学”というのではないでしょうか。 他の作品群とは一味違う、希望に満ち溢れたラストも素晴らしい。 長すぎるドストエフスキー作品、一体どれから読んだらいいのだろう?と、思っている方には断然お薦めの一編です。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
優れた人間観察の記録,
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レビュー対象商品: 死の家の記録 (新潮文庫) (文庫)
小説というよりもノンフィクションに近い感じの作品である。明確なストーリーはなく、ドストエフスキーが自ら体験したシベリヤの流刑地で起こった一連の小さなエピソードや人物描写からなっているが、どれをとっても興味深い。普通に考えると、監獄とは一種の特異な環境、さらに言うと極限状況であり、そして中に収容されている人たちも「異常」な者ばかりだと思われがちだが、この作品はそういった世間一般の偏見を真っ向から否定し、たとえ監獄内においても、人々の間で働く様々な心理学的、社会学的力学は外の世界とは本質的には違わないことを示している。そういう意味でこの作品は非常に優れた人間観察の記録であり人間の本性の論考である。また、お高くとまって犯罪者たちを見下して裁くのではなく、彼らを究極的な「不幸な人々」「たくましい力を持ちながらむなしく亡び去ってしまう人々」として捉え、彼らに限りない憐れみを寄せるドストエフスキーの視点にも見習うべきものがあると思う。工藤精一郎の素晴らしい日本語訳が特筆すべき。訳文は非常にこなれていて、すらすらと読めて生き生きしている。こんなに気持ちよく読める翻訳作品は久し振りだ。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ドストエフスキー創作の源泉,
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レビュー対象商品: 死の家の記録 (新潮文庫) (文庫)
若きの文豪の言葉「僕は監獄生活から民衆のタイプや性格をどれほど沢山得たか分かりません。浮浪者や強盗の身の上話をどれほど聞いたか分かりません。何巻もの書物にするに足るでしょう。」の通り、シベリア流刑がなければ「罪と罰」のラスコーリニコフも「悪霊」のスタヴローギンも「カラマーゾフの兄弟」の強烈な個性を具有した登場人物たちも生まれなかったに違いない。このルポルタージュ的な作品にはそれ自体の価値以外に後期5大長篇やその後に書かれた諸作品の秘密を解く鍵がある。シベリア体験はドストエフスキーの創作の源泉であり、ありがたいことに「死の家の記録」という書物として誰でもその源泉を垣間見ることができるのである。トルストイでさえ「復活」を創作する際に本書を参考にしたのだという。後期の作品とは性格の異なる客観的な記述に徹した文章であるが、ドストエフスキー読みにとっては無視できない作品だろう。
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