「バカの壁」は中盤あたりから妙に壮大な雰囲気になってきて、途中で読むのをやめてしまいました。これも途中から「おいおい、どうなっちゃうの?」という嫌いがありましたが、その後は大変わかりやすく、なるほどなーるほど、と思いながらすぐ読み終えてしまいました。なるほどと思ってしまうこと自体、著者が言うように普段見据えていない証拠なのでしょうね。
「エリートは本来、汚れた仕事も背負わなくてはならなかった」という記述は重要で、「はぁー、なるほどー!」でした。そういう、汚れた部分の持つリアルさがどんどん失われて、人間ですらも情報と数値に置き換えられていく。
仕事柄よく葬儀に参列します。今では棺をカマに入れるのに、コンテナで運ぶのが主流です。強烈だった例として、リモコンで動くコンテナの後ろから、遺族がついて行くっていうのがありました。コンテナが独りでに動いて、遺族の先導をしているわけで、そうなるとコンテナに乗っかっているあれは一体何だ?とわからなくなってきます。死とか死の儀式ですらも、色や香りのない無機質なものになっていくのでしょうか。
曖昧にしとけば良いものを明文化して、越えなくてもいい一線をわざわざ越えなくてもいい、という著者の考えに大納得でした。