短編集でもスピンオフでもないのに、一度終わった話、一応の解決をみた事件の後日談を綴ったことが本巻の大きな特色。何ともやるせない展開ではあるが、これには、本シリーズの根幹を成すテーマが潜んでいる。つまり、本シリーズにおいて、罪を犯した人が受けるべき罰とは何か?である。これは「恭子が【組織】の仕事を請け負うことが贖罪と成り得るのか」であり、同時に「狗斗のこれまでの判断は正しかったのか」にも繋がることである。だから、かつて恩情解決した事件の「その後」が、望まれない悲劇として出てくるのである。これを契機に狗斗を取り込もうとする【組織】の思惑も背後に抱えて進むストーリーは、シンプルながら読み応えがあり、過度にシリアスでもないことから、一気に読み進められるものだった。所々に挿み込まれる恭子のボケ(色ボケ?)と狗斗のツッコミが笑わせてくれる。訳あってクギト宅に押し掛けた恭子の、朝の第一声(P.29)は最高に可笑しかった。
さて、こうした本巻の問題についてクギトは悩み、姉やりんの助言を受けながら、一応の答えを導き出すのだが、これが唯一無二の正解なのかと考えると、そもそも簡単に答えが出る類いのものではないだけに難しい。ぶつけられた問題提起が正論ならば、りんの言葉に端を発する考え方もまた正論。ここで無謀ともとれる答えにしているのは、作者なりの、主人公たる狗斗の面目躍如と、恭子との関係強化によって、次の展開、ひいてはクライマックスに持っていくための布石ということなのであろう。フッ切れているようで、実は曖昧さも残る回答でもあるが、これも若さの発露と捉え、読者にも問題提起しているように感じる。テーマがテーマだけに何とも複雑である。また、場合によっては、かなりの重荷を恭子に強いる、狗斗の一皮むけた決意である。