前半は2人の学園生活に焦点が充てられており、後半に初仕事が綴られている。学園パートではヒロイン【恭子】と主人公【狗斗】の関係に一石を投じる騒動とその後のデート話。確かに恭子ならば心配ないかもしれないが、いやいや狗斗クンそれは無いだろう、という男らしくない姿が残念である。狗斗が恭子にとって初めてフツーに接することの出来た人物であること、自分がフツーの学生ではないこと、その前提としての自分に対する贖罪と今後の生きる糧など、様々な思いが折り重なって複雑に絡み合い悩む恭子の姿に今後は狗斗も考えを新たにすることだろう。そうした自分の気持ちをストレートに吐露する恭子の告白とも言えるセリフは痛々しくも美しい。この想いを是非とも受け止めてあげて欲しいものである。それにしても恭子のよそ様向けキャラは正直必要無いと思う。狗斗だけに見せる素の姿を誰にでも見せるべきだと思うのだが、これも恭子の精神的成長に合わせて変化し、いずれ誰にでも本当の姿を見せられる日が来るのであろう。
後半は2人の初仕事。その打ち合わせ場所で思わず出たセリフがレビュータイトルなのだが、こうした軽妙なやり取りや脱力感のある指令の出方などが心地よい。それでも初仕事に緊張と覚悟をもって挑む2人だが意外な結果となる。世間に対しどこかすこーしだけ斜に構えている狗斗が真剣に立ち向かう姿にはカッコ良さを感じる。そんな狗斗が、恭子やクラスメイト【久遠りん】あるいは事件で触れ合った人々を通して変わっていく姿、成長していく姿を次巻以降でも見せてくれそうな作品である。
全くの余談だが、老婆心ながら狗斗の『学校っつーのは親に金出してもらって、将来を買うところだぞ』とのセリフは、本作を主に読むであろう中高生に、かつての自分に対する自戒の意味も込めて「肝に銘じておくとお父さんお母さんが喜ぶからネ」と申し上げておきたい。このようなすこーしだけ説教じみた文言が出てくるのも本作の特長かも?