本編は荒川修作のドキュメンタリーである。
特典映像はまだ観ていないが、この本編だけで私は最高の評価を与えたい。
まず映画としての評価は、この監督の編集は大胆にも謙虚で、一人の人間の代弁者として巧みな編集をしたように思える。
荒川の思想を潰すことなく且つそれに偏執することもなく、つまり荒川修作の代弁を成功させたのではないだろうか。
映像として保存することで”擬似的に”荒川を「死なない」存在にしたとも考えられて地味に面白い。
監督の仕事は見事だが、ここに描かれる荒川修作という事象自体にも大きな感銘を受けた。
彼は幼少期に稀有な経験(内容は是非その耳で確かめて欲しい)を機に、ひたすらに「死」を否定するスタンスを持つようになった。
そして死を当然のごとく受け入れる人々だという理由で、ヨーロッパ昨今の科学者・哲学者・芸術家を彼は否定する、。
そしてこのスタンスが現代人には欠けていると主張する。
彼は”本気”なのだ、「一般人」の我々からすると彼の言っていることは世迷いごとにしか思えないだろうが。
私が思うに、人々は当たり前のものとして死を諦めて「今ある生を精一杯生きよう」などと考えないと「今ある生」を生きられない、その理由は単純に死が畏怖せざるを得ないものだから。
そういった人々を否定し、彼は生と真正面から向き合っている。
その彼の姿勢に大きく感銘を受け、共感した。(というのも、私個人も「絶対に死ぬもんか!」なんて思っちゃってる人間なので)
ただその姿勢を表明するだけでなくその為の道を必死に求めている。
そこで一つの命題が出てくる。
「有機体は環境を変化させ、環境は有機体を変化させる」
ここに建築家としての彼のコンセプトが凝縮されているのではないかと私は考える。
人間と自然は同一存在だという哲学者の言葉とは異なり、能動的に彼は環境を弄りそれを以って人を変化させようと試みたのではないか。
そしてその目的は「天命を反転させるため」、そこへ至る価値観は「死にたくない」という思い。
…書くと切りがないし、私独自の価値観も無駄に混ざってしまうので後は本編を観て沢山考えて頂きたい。
拙いレビューで申し訳ない。
最後に、観る時には子供の気分で観て下さい。
死は不可避なことだという思い込みとりあえずは捨てて観て下さい。