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死なないでいる理由 (角川文庫)
 
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死なないでいる理由 (角川文庫) [文庫]

鷲田 清一
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

生きること、老いることの意味。現代はそういう問いを抱え込んでいる。<わたし>が他者の宛先でなくなったとき、ひとは<わたし>を喪う。存在しなくなる。そんな現代の<いのち>のあり方を滋味深く綴る哲学エッセイ。

内容(「BOOK」データベースより)

たとえば、生涯だれにも一度も呼びかけられなかったひとなどはいない。“わたし”は「他者の他者」として、他者の思いの宛先としてここにいる。“わたし”が他者の意識の宛先でなくなったとき、ひとは“わたし”を喪う。存在しなくなる。ひとの生も死も、まぎれもなく他者との関係の社会的な出来事としてある、そんな現代の“いのち”のあり方を、家族のかたちや老い、教育など、身近な視角からやさしく解き明かす哲学エッセイ。

登録情報

  • 文庫: 222ページ
  • 出版社: 角川学芸出版 (2008/12/25)
  • ISBN-10: 4044075026
  • ISBN-13: 978-4044075026
  • 発売日: 2008/12/25
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
「死なないでいる理由」初めてタイトルを見た時、正直何かぞっとする印象を受けた。死なないでいる理由、いや、生きている事の意味をあらためて考えてみると、その明確な理由は簡単には見出せない。人は、普段大して意識することも無く、それに騙し騙しに意味付けをしたり、わかりやすい自分の物語を作って毎日を過ごしているのかもしれない。そして、理不尽な出来事にあったり、今まで積み重ねてきたものがあっという間に崩れていってしまったときに、落ち込んだり、自信を無くして、「自分は何で生きているの?」「自分って何んなんだろう?」という問いが一気に自分に迫ってきて苦しくなってしまうのかもしれない。そのようなことは、少なからず多くの人が何回かは経験したことがある思う。
そんな時、人は自分以外の人やものに自分の意味を見出そうとするのではないか。自分と何かの“あいだ”に答えを探してみる。しかし、近頃その“あいだ”が無くなってしまっていたり、適切なそれを作ることさえも出来ずにいる人が増えてきている。 本書を読む事で、様々な場面でそのような問題が浮き彫りになってきている事と、問題の根は深いことを感じた。
本書は三部構成になっていて、どれも過去に雑誌や新聞に掲載されたものだが、まとまりのある文章に仕上がっている。ただ、一部が他の部に比べて内容的に多少重めなので、一部から読み始めると苦しくなるかもしれない。また著者が90年代に行なってきた様々な仕事を垣間見れるので、今までに他の文献を読んだ事がない人は、彼の関心領域の広さとその真摯な姿勢を感じられると思う。
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By Dolly the Cat トップ50レビュアー
形式:文庫
 本書は同タイトルの単行本を大幅に再構成・加筆訂正したもの。
 近代化によってひとは、すべては所有可能で、自分のものならば自由に処分する権利もあるはすだ、と考えるようになったが、現実には「意のままにならない」。このことを受容し、所有と自由処分の「連結を解除しなければならない」。それでも、「いいんだよ、おまえはそのままで」と言われ、生きることは楽しいという「幸福な経験」をしていれば「死なないでいる理由」ももっていられる――こうした従来からの主張が、最近の事例ともに平易に綴られていく。
 その背景には、「怠惰と弱さがネガティヴにとらえられ」、「これができたらという条件つきでひとが認められる」、子どもや老人が排除される社会があり、さらには「生きることの基礎となるいとなみ」が「外部化」された結果、家ではひとの生き死が見られなくなり、ひとの食べ物は動植物の命を奪ったものだということも、構造的に目隠しされるようになった現実がある…… 。そう語る鷲田氏の行文は、いつになくさびしげに響く。
 ただ、「死なないでいる理由」のヒントと読める最終章では、自転車を「ぶらぶら乗り」し、映画館の「シートに深く身を沈めて」自分を解放し、「からだで聴く」感覚、「からだに救われる」経験をもち、ウサギのような「いのちを預か」ったり、、「人を歓ばせて歓ぶ」体験が、「小さな幸福」として提案されている。
 「あとがき」では〈「死なないでいる理由」はわたしの終生の主題であると思い定めていいのだろう〉とある。確かに励まされるが、うら寂しい感慨が胸に残される哲学エッセイでもあった。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
鷲田清一は、「哲学エッセイ」の名手だ。

「ひとはひとりでは生きられない」ということばがある。当たり前の事実なのに、このことばをきちんと伝えることはおそらくとても難しい。それは、このことばがあまりに頻繁に使われるために、すっかり手垢がついてしまって、ともすれば陳腐で空虚なメッセージとしか受け取られないからだ。

でも、鷲田清一がこのことについて書くと、違う。瑞々しい感受性で捉えた世界を、普段深く考えていることを、気品がある文章でわかりやすく説く。そこには常に、深い思考と人間への温かなまなざしがある。硬直した心が、ほぐれていくような感覚がある。

ひとはひとりでは生きられない。このことばに陳腐さを感じる人、あるいは「ひとりで生きられるよ」と反駁してしまうくらいに孤独な人はぜひ読んでみてほしい。
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