哲学者(池田氏)と死刑囚(陸田氏)が、死ぬことあるいは生きることについて、妥協も甘えもごまかしもない、本気の言葉で語り合う過程が、生々しく収められている。
発端は、陸田氏が池田氏に書き送った一通の手紙。
陸田氏の冷静な分析力と文章力を見ぬいた池田氏が、東京拘置所宛てに返事を書き送ったことから、週刊誌上でふたりの「公開」往復書簡がはじまる。
むさぼるように本を読み、みずからが「わかった」状態にあることを、理詰めで哲学者に書き送る囚人。
陸田氏が死刑囚だからと言って何ら特別あつかいすることなく、その甘えや若さゆえの未熟さを容赦なく、しかし愛をもって率直に指摘してゆく哲学者。
たちまちのめりこんで読む。どのページにも命がけの言葉が並んでいるから、夢中で読んでもなかなか先にすすまない。
池田晶子さんは昨年、47歳で亡くなった。
陸田真志氏は今年6月、37歳で刑死した。
哲学対話の続きを聞くためには、向こうへ行くまでもうしばらく、わたし自身の「死」を生きなければならない。