冒頭で、軍人三人の一行は鯨の肉を食べています。ああ、古い本だからなと思ったら、絶滅したシロナガスクジラの肉なのだという説明があります。シロナガスクジラはまだ絶滅していない気がしますが、この本ではそういうことになっています。
そして唐突に、降旗少尉が、自分たち三人は死んだと思うと言い出します。
昔の日本をおかしくしたような不思議な世界にいることと、任務に就く前に説明されたことを良く考え合わせるとそういう結論になるというのです。しかし、なぜ冒頭から死んだと思うと言い出すのかは、最後まで読んでも不可解です。
その後も、使った燃料が使用前の状況に戻っているなど、不可思議な現象が次々に起こります。生と死の間をさまよっているのは確かなようです。
ストーリーの意味はどう考えるかは個人の自由という感じで説明が少ない(私の父はわからん本だと言った)ですが、途中で何度も仮想現実体験装置が出てきて、それを着けているうちにどちらが現実かわからなくなるという場面が何度も繰り返され、読んでいる私も本を置いてからしばらく、この現実が現実でないような錯覚に囚われました。
そういう酔い方が好きな人には、とてもおすすめです。単純明快さを求める場合は、おすすめできません。