日米が激突した太平洋の島々の戦いを特集している。歴史群像の記事を一冊に再編集したもの。軍事に強い雑誌が元になっているだけに大変詳しい。日米双方とも、多くの失敗を重ね、研究し、勇敢に戦った様子とその背景が伝わってくる。
攻勢への転換点であることを米軍は意識していたガダルカナル。海兵隊初の敵前強襲作戦となったタラワでの激戦と短期間で次々落ちたマーシャル諸島及びギルバート諸島。水際撃滅戦術の限界が貴重な戦訓として残ったサイパンでの攻防。海兵隊の楽観論を打ち砕いた中川大佐率いるぺリリュー守備隊の奮戦。坑道陣地だけでなく火力も強力だったことが善戦につながった栗林中将率いる硫黄島守備隊。米軍も夜襲や浸透突破を多用した沖縄戦。
個別の戦いの解説だけではない。アメリカ軍の上陸作戦の手法(兵力集中、展開、火力支援、上陸、海岸堡確保)。LVTやLCMなどの上陸用車両。輸送や火力支援及び揚陸指揮艦船。防御射撃陣地の構成と突撃破砕射撃。迫撃砲や榴弾砲や重機関銃などの火器。日本軍の対上陸防衛作戦。陣地構成や配備や装備。硫黄島の坑道式陣地の詳細と防御戦術。前半40ページはこれらについてカラーページで詳細に解説している。特に、硫黄島守備隊が配備した直射火器の主射線を描いた地図は、不完全ながらなかなかすごい。まさに火網である。
4つの書き下ろしコラムの内容も良い。特に、日米両軍の火力を、有効距離と投射弾量に着目して比較しているページは興味深かった。火力で圧倒していた米軍だが、600〜300メートルの戦闘では日本の歩兵師団にもチャンスがあったことがわかる(もっともM4戦車が加わると苦戦)。逆に、日本軍が得意と信じていた100メートル以内では自動小火器等を大量に有する米軍が有利で、至近距離戦闘が戦力消耗につながった可能性を示している。