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文章は非常にわかりやすい。歴史学は、特に理論分野になると時として難解になりがちであるが、本書では理解しやすい形にかみ砕かれている。そして現代歴史学の課題となる分野(「大きな物語」「物語と歴史」「歴史は事実を知ることが出来るか」「歴史の描くべき対象」「歴史と国民性・アイデンティティの関係」など)を広く網羅している。時として意外と攻撃的というか積極的に論難する箇所が見られるのがまた面白い。
今までの歴史の入門書と称する書物ではかならずと言っていいほど多くのページを割いた歴史学の歴史や資料分析・批判など専門家以外の人々にとって気力を萎えさせられる分野に力を注いでいないのがよい。
著者のテーマは「歴史は何の役に立つの?」である。
対象は大学生、入学直後の大学生か歴史を専門としない教養として歴史を学ぶ(単位のために学ばざるを得ないか?)学生を意図しているであろう。
また、あとがきにも記されているように「歴史に関わる優れた啓蒙書を紹介するブック・ガイド」も著者の意図するところである。
取り上げられた書には私も読んだことのあるものから名前も聞いたこともないものも様々である。
なかでは「砂糖の世界史」「人はなぜエセ科学に騙されるのか」「茶の世界史」「漢帝国と辺境社会」「グレートジンバブウェ」は知的好奇心を刺激された覚えがある。
そして著者一押しの「青きドナウの乱痴気」や「動物裁判」は是非一度目を通したいと思わされた。
このようなブックガイドこそがさらなる探求に資するために最も重要なものである。これがあってはじめて優秀な入門書といえるものである。
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