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歴史入門 (中公文庫)
 
 

歴史入門 (中公文庫) [文庫]

フェルナン・ブローデル , 金塚 貞文
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

二十世紀を代表する歴史学の大家が、代表作『物質文明・経済・資本主義』における歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける、アナール派歴史学の比類なき入門書。時間軸を輪切りにし、人間の歩みを生き生きと描き出す、ブローデル歴史学の神髄。

内容(「MARC」データベースより)

20世紀を代表する歴史学の巨匠、F.ブローデルがその歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける。アナール派歴史学の比類なき入門書。* --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 193ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2009/11/24)
  • ISBN-10: 4122052319
  • ISBN-13: 978-4122052314
  • 発売日: 2009/11/24
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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23 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:文庫
 本書は、日本語訳ではハードカバーで6巻に及ぶ大著『物質文明・経済・資本主義』(みすず書房)への著者自身による入門である。経済を軸に据え、歴史学の立場から行った、壮大な規模と構想をもった15世紀から18世紀までの「世界=経済」の解釈を、アナール派を代表する「知の巨人」であった歴史学者ブローデルが、自ら要約して1976年に米国の大学で講演したものだ。

 「歴史入門」というタイトルで本書を手にとった読者は、少しとまどいを感じたのではないだろうか。本書の日本語版は「歴史入門」と題されているが、原題は La Dynamique du capitalisme(1976)、直訳すれば「資本主義の力学」とでもなろうか。単行本出版の際に出版社がつけたタイトルであろうが、きわめてミスリーディングなタイトルである。文庫版刊行にあたって、「ブローデル歴史学入門」くらいに変更しておくべきだったのではないか。

 では、「全体史」を目指した歴史学者フェルナン・ブローデルのものの見方とはいったいどういうものか簡単に見ておこう。人間の生物学的な生存条件を出発点とし、政治ではなく「経済」を主人公とした歴史解釈であり歴史記述であるが、それは『物質文明・経済・資本主義』というタイトルそのものに表現されているといってよい。
 しかしながら、歴史学者ブローデルの主張は、マルクス、ウェーバー、シュンペーターといった社会科学者たちの通説とは大きく異なるものだ。日本の大学で社会科学を勉強して、これらを常識として受け取ってきた者にとっては、やや違和感というか、よくいえば新鮮な印象を受けるのではないか?
 マルクスの発展段階説を否定し、奴隷制、農奴制、資本主義は順番に出現したのではなく、同時性と共時性があると強調する(P.117)。マックス・ウェーバーのプロテスタンティズムが資本主義の推進力との考えを否定し、「世界=経済」が地中海から北ヨーロッパに移行した結果にすぎないとする(P.88)。シュンペーターのように起業家(アントルプルナー)を資本主義の推進力とはしない(P.85)。
 このように、ブローデルの歴史学においては、経済において歴史学と社会科学が結びつく。しかも、首尾一貫して「資本主義」と「市場経済」を区分して考えている。これは著者の主張のキモなのだが、一般の通念とは大きく異なっているので、著者の主張をすんなり理解するには、ためらいを感じるかもしれない。

 また、著者自らがいうように、「世界システム論」を説くウォーラースティンとは共通認識をもつが、ヨーロッパ以外でも世界は共存する複数の「世界=経済」に分割されていたと考える点においては異なるともいっている(P.106)。
 封建社会からゆっくりと崩壊して資本主義社会が出現した点において、西欧社会と共通しているのは日本だけであるという指摘(P.93)は、先行研究を踏まえたものだが、日本人としてはあらためてその意味を深く考えてみる必要があるだろう。

 訳注と解説を除けば、文庫本でたった145ページという小冊子であるが、ブローデルの到達点を語って、語り残すところのない凝縮された一冊である。
 簡潔すぎるのが強みでも弱みでもある「ブローデル歴史学入門」であるが、ブローデルについて語るなら、まず最低この本だけでも、腰を据えてじっくり読んでおきたいものだ。
 とくに、「資本主義」のまっただなかに生きるビジネスパーソンには、通説と異なる感想をもつとしても、ぜひ読んで欲しい一冊である。いま生きているこの時代が、いったいどういう歴史の流れのなかにあるかを正確に認識するためにも。
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By akiolee
形式:単行本
著者Fernand Braudelは、言うまでもなくフランス社会史研究の中心であるアナール学派の領袖として著名な研究者である。「著者まえがき」によれば、本書は1976年にアメリカで行われた講演の原稿として書かれたものである。この講演そのものは著者の主著の一つ「物質文明・経済・資本主義」の刊行前に行われたが、その時点で同書はほぼ完成しており、その内容について紹介することを目的としていた。したがって、本書は「物質文明・経済・資本主義」の著者自身による要約と言うことが出来る。

本書で著者は、その特有の概念と言える「長期持続(longue duree)」という観点から、15-18世紀ヨーロッパの「日常性の歴史」を概観することを試みている。それは政治的に重要な個々の出来事の特殊性を記述する、あるいはその出来事相互の因果関係を追求していく、それまでの近代歴史学の方法論とは大きく異なるものである。著者の歴史に対するこうしたアプローチは時として、過去の出来事についての、あるいはそうした社会変化の原因についての、それまでの「常識的な理解」を覆す視点を提供する。というのも、著者はむしろ、こうした「常識」そのものが形成されてきた環境を問題とするからである。

著者の「この弁証法、つねに再審をせまられる、過去/現在、現在/過去の弁証法こそが、まさしく、歴史そのものの核心、その存在理由なのかもしれない(p.71)」、また「歴史学はつねに新たに始まり、それはつねにそれ自身を創り上げ、それ自身を乗り越えてゆく(p.167)」といった言葉は、歴史研究における課題を言い表すものとして、特に印象に残った。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
  
 フェルナン・ブローデル(Fernand Braudel,1902~1985)の“La dynamique du capitalisme(資本主義の活力)”は1995年、太田出版から刊行されていたが、この度、文庫本として復刊されたことを嬉しく思う。特に、当書では脚注(訳注)を巻末に集約したため、本文が滑らかに読めるようになり、煩雑さが解消されたと感じる。ともあれ、今回の文庫化はアナール派歴史学やブローデルの世界へ旅立ちする機縁ともなろう。

 ところで、“資本主義”という言葉自体は、ヴェルナー・ゾンバルトが生みの親だが、ブローデルの語る“資本主義像”は、本書を手にとって判ることだけれど、マルクスともウェーバーとも異なっている。この“マルクスの資本主義”と“ウェーバーの資本主義”は、私の学生時代、侃々諤々の議論を繰り広げていたものだ。だが、たとえば、後者の“プロ倫型資本主義”に関して、ブローデルは彼の歴史観を介して次のように批判する。

 すなわち、“ウェーバーの資本主義”、つまり「北ヨーロッパの国々における資本主義の躍進」は「ピューリタニズムの創作物に他ならない」としているが、それは単に「長きにわたって繁栄し続けてきた地中海沿岸の資本主義の古い中心地が占めていた地位を引き継いだだけ」であり、「世界経済の重心の移動」が生じたに過ぎない、というものだ(本書第2章)。この視点は、ブローデルの〈中心化〉仮説等を由来としている。

 彼は、「マックス・ウェーバーの誤りとは、そもそも資本主義の役割を、近代世界の推進力として過大評価してしまったことに根本的に起因するように思われる」(同)と総括する。その他、前述の〈中心化〉の外、〈長期持続〉〈世界時間)などの分析概念を駆使して、歴史の深層や動態を述べている。そして、何より肝要なのは「自分たちの省察の基礎として彼の著作を使うことをためらってはならない」(ウォーラーステイン)という点にあろう。
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