加藤周一というと文化や政治を語るイメージがある、という人のほうが多いかもしれない。
しかし、加藤周一は元医者であり、科学的なものの考え方に長けた人である。
生前も交流があった浅田彰は「老境の文化人がややもすれば心情的なエッセーに傾斜する日本で、彼だけは最後まで明確なロジックと鮮やかなレトリックを貫いた」と評している。
本書は人文系と自然科学系を股にかける加藤周一の、まさに面目躍如といえる一冊。
丸山真男との対談なども二人の思想の本人達によるセルフ解説として読めるし、サルトルと日本人との対談はそれだけで貴重なものだが、個人的に本書の利点は久野収や湯川秀樹との対談に求められると思う。
学問の方法論、科学哲学のような内容であり、加藤周一の科学哲学者としての側面が遺憾なく発揮されていて、今読んでも古くないことに驚かされる。
飛躍とレトリックに偏りがちな日本の人文系の中で科学を理解しつつそれを人文知と結びつけて(ここ重要)語れる稀有な人だったことを再確認させられる。