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歴史を精神分析する (中公文庫)
 
 

歴史を精神分析する (中公文庫) [文庫]

岸田 秀
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦争、薬害エイズ事件などで、官僚はなぜ国家や国民の利益に反する行動をしたのか、アメリカは何ゆえに日本への原爆投下を謝罪しないのか、どうして日本人はアジア人の中で英語がいちばん下手なのか…歴史的事件の背景にあるものを精神分析の手法で考察。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岸田 秀
精神分析者、エッセイスト。和光大学名誉教授。1933年香川県生まれ。早稲田大学文学部心理学専修卒。『ものぐさ精神分析 正・続』のなかで、人間は本能の壊れた動物であり、「幻想」や「物語」に従って行動しているにすぎない、とする唯幻論を展開、注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 199ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2007/06)
  • ISBN-10: 4122048753
  • ISBN-13: 978-4122048751
  • 発売日: 2007/06
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 岸田秀という人の凄さは、わかりやすいということ。なぜ人間は過去を気にするのか。一つには、人間には行動選択の自由があり、後悔するからである。なぜ人間に行動選択の自由があるかと言うと、本能にもとづいて調和的に生きている動物と違って、人間は本能が壊れ、その行動が本能によって決定されないからである。本能が壊れた人間は本能に代る行動規範をもたねばならない。それが自我であり、それにもとづいて、たとえば自分は男であるとか、日本人であるとかの自己規定にもとづいて行動を決定する。ここに、人間が過去を気にする第二の理由がある。自我というものを構築した以上、人間は自我の起源を説明し、自我の存在を価値づけ正当化する物語を必要とする。だから歴史には嘘が多い?
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書は「歴史というものは精神分析で解けないものだろうか」という著者が自ら設定した課題に対する回答である。日本はアメリカの属国であると言われると嫌な顔をする人が多い。なぜか。岸田教授は明快に説明してくれる。内的自己が傷付くから、と。また、日本人はなぜ英語が下手なのか。内的自己が英語嫌いだから、と。「日本という国家は個人に譬えれば精神分裂病の患者のようなもの」、あるいは「日本とくに近代日本は精神分裂病に罹った病人」というのが著者の基本認識である。この認識が出てくるのは「個人の場合の劣等感と優越感がどのようにして生じるかの問題を考えてみたが、民族や国家などの集団の場合も同じようなものであろう」(p161)。精神分析を歴史に適用するとどうなるか。著者の見立てでは黒船への屈服は白村江の惨敗の反復である。日本は白村江の惨敗を契機に成立したのであり、近代日本は黒船に開国を強要されてはじめて成立したのである。教授によれば白村江で倭国が唐・新羅に破れた663年以前の歴史は「神話」である。この認識が当を得たものであることは聖徳太子の史実性が今日事実上否定されていることからも分かる(行き着くところ、大化の改新の否定となるだろう)。こと白村江以前の古代史に関する限り史的唯幻論は実証史学より優位にあり、それが意味するところは、史的唯幻論の方法的優越である。近代史についても著者は和魂洋才を面従腹背路線と喝破している。本書の主眼は日本人(だけでなくフランス人、アメリカ人も)の自己認識は自己欺瞞である、というところにあり、著者は内的自己と外的自己に分裂した自己を統合しないかぎり妥当な歴史認識にいたるのは覚束ない、と確信している。本書の初出は95−96年に雑誌に連載された論考であり、著者は文庫版あとがきで「百里の道を一里か二里進んだ程度で、わたしももう歳も歳だし」と弱音を吐いている。でも岸田先生、先生にはギリシア文明のエジプト起源説の検証という大仕事が待っています。歳だなどと言わず一層のご活躍を期待しています。
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