この本は、中国歴史小説の第一人者である著者が、人はかくあるべき、という姿を、15の章(観点)でまとめたものである。
1.人相篇:強烈な個性をはなつ異相の人物
2.言葉篇:ことばは、過信することなく重んじられる
3.真偽篇:真偽を正しく知るは大いなる力
4.才能篇:“努力しうる”才能こそ天才の本質
5.命名篇:時間と、人に対する命名
6.創造篇:創造力を支える実見・実用
7.教育篇:教育により人は立つことを得る
8.死生篇:平安な時にそなえあって天命に耐える
9.父子篇:先達である父の教えは道理にかなう
10.人材篇:人材の登用が明暗を分ける
11.先覚者篇:非凡を転じて先覚者となる
12.哲理篇:正しい生き方の知恵
13.貧富篇:謙虚にして冨のなんたるかを知る
14.信用篇:窮地から救ってくれるものは信用
15.観察篇:観察眼無しに人は動かせない
例えば、15篇では、リーダーの持つべき高いレベルでの観察眼について、『宋名臣言行録』から引用されている。「明なれど察に及ばず、寛なれども縦(しょう)に到らず」。これは、「物事がよく分かるが、あまり細かいことをほじくりかえしてはいけない。また、部下のミスには寛容であるが、だらしがなくなってはいけない。」という意味である。
そして、「明」のレベルを説明する例として、『説苑(ぜいえん)』から「愚公の谷」を紹介してる。これは、時の宰相の管仲が、少年に因縁をつけられて子馬を盗られた老人(愚公)の話を聞いて、世間が言うように愚かだと一笑に付すのではなく、それは老人が役所に訴え出ることを諦めたに過ぎず、つまり今役所では正しい裁判が成されていないからであると明察した話である。
この例は秀逸であるが、各篇において中国の歴史や古典の名言等から引用し解説を加えており、とても奥深いものを感じた。